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STORY 70 ページ20

部屋の戸が大きく開かれる気配と私の名を叫ぶ声にそちらへと視線をやると、そこには鬼気迫る表情を浮かべながらとしみつさんに視線を向けるりょうさんがいた。

「りょうさんっ‼」
「としみつ、今すぐAから離れろ!勝手にこんなことしてどうなるか分かってるんだろうな⁈」

一瞬としみつさんの力が弱まったその隙に、私はそこから必死で逃れりょうさんの腕の中へ飛び込んだ。
そんな私をりょうさんは力強く受け止めてくれる。

「大丈夫か、A?」

私はりょうさんの胸に埋めた顔を上げ大きく頷いた。

「A、いいからお前は部屋に戻ってろ。体に障るといけないからな」

私に優しく微笑みながらそう言った後、としみつさんに視線を戻したりょうさんは。

「としみつ、早くここから出て行け!もう二度とAの前に現れるな!」

再び険しい表情と荒々しい口調でとしみつさんに向かってそう言い放った。
だけどとしみつさんはそんなりょうさんに怯むことなく、それどころか余裕すら感じるくらいの笑みを浮かべてゆっくりとその場に立ち上がる。

「りょう、悪いんだけどな。何が何でもAちゃんは渡してもらう」

こちらに近づいてくるただならぬ殺気へと視線を向けた私の目には、鋭く光る刃物を手にしたとしみつさんの姿が映る。

「りょうさん、危ない‼」

私は咄嗟にとしみつさんに背を向けるりょうさんを自分に出せる全ての力で押し退け庇っていた。
次の瞬間、私の腹部に鋭い痛みが走る。

「Aっ⁉」

遠のいていく意識の中でりょうさんの声だけが響く…

あぁ私、このまま死んでしまうのかな。
お腹の赤ちゃん産むこともできないまま…
その時一瞬今までの出来事が私の中で走馬灯のように駆け巡っていった。
それならばあなたに、最後に一目でいいからもう一度会いたかった。

てつやさん…

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かえで(プロフ) - あいまるさん» 当時、悩みながら書いた作品だったのですがこうして今読んで頂けたことが私にとっては最高に嬉しいです。勿体無いほどの言葉を本当にありがとうございました! (2021年4月27日 21時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
あいまる(プロフ) - もう、感動の一言につきます。思わず涙をこらえるページもありました。こんな作品を生み出していただいて、ありがとうございます!この作品に出会えて良かったです! (2021年4月26日 21時) (レス) id: 8885b9410d (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - りなさん» お気持ちだけ受け取ります、これからも無料でガンガン読んでやってくださいw有難いお言葉を本当にありがとうございました! (2018年11月13日 8時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すんばらしいです。。お金払って読みたいレベルです。。素敵なお話ありがとうございました^ ^ (2018年11月12日 0時) (レス) id: e2ead3d137 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - オニク。さん» 有り難いお言葉をありがとうございました!とても励みになりました。 (2018年4月30日 14時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かえで | 作成日時:2018年3月6日 17時

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