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STORY 63 ページ13

「A、あんた最近顔色悪いけど大丈夫?」

部屋で支度のお世話をしていた私に心配そうに月子さんが尋ねてきた。

「そうですか?全然大丈夫ですよ」
「嘘、絶対あんた無理してる!私、知ってるのよ?
食欲だってないみたいだし、食べてもすぐ吐いちゃうし」
「あ…」
「どこか具合が悪いんじゃないの?」
「本当に大丈夫ですから!きっと風邪っぽいだけですよ、ごめんなさい心配かけて」

私はただ月子さんを安心させたくて、そう言いながらにっこり微笑むと元気よく立ち上がろうとした。
瞬間、突然激しい眩暈が襲う。
それと共に急激に血の気が引いていって、私はそのままその場に崩れるように倒れていた。

「A⁉」

遠くから月子さんが私を呼ぶ声がする…
いったい私はどうしてしまったというのだろう。
てつやさんに会えなくなってしまったから、辛くて辛くて。
それで病気になってしまったのかな…



「懐妊ですね」

布団に横たわる私を囲むように、りょうさんとゆめまるさんそして月子さん。
お医者様から伝えられた一言に皆の視線が一斉に私へと注がれる。

「貧血がひどいようなので暫くは安静にしていた方がいいと思います」
「そうですか、ありがとうございました」

部屋を出て行くお医者様をゆめまるさんが見送るため一緒に出て行った。

「さて、どうしたもんかな」
「妊娠してるなんて…どこまでこの子辛い思いすればいいの…」

てつやさんとお別れをしてすぐ私に知らされた真実。
私はてつやさんの子供を身篭っている。



突然倒れてしまって、気づけば布団に寝かされていた。
やっと体調も落ち着き仕事へ戻ろうと体を起こした時、りょうさんがそんな私を制する。
最近体調がすぐれない毎日が続いていた私に、りょうさんから告げられた。

「A。今な、お前のお腹の中に子供がいるんだ」
「え?」
「妊娠してるんだよ、お前は。てつやの子を」

思わぬ事実に正直戸惑う。
だけど無意識にお腹にそっと手をあてていた。
私のお腹の中にはてつやさんの赤ちゃんがいる。

「Aはその子をどうしたい?」

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かえで(プロフ) - あいまるさん» 当時、悩みながら書いた作品だったのですがこうして今読んで頂けたことが私にとっては最高に嬉しいです。勿体無いほどの言葉を本当にありがとうございました! (2021年4月27日 21時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
あいまる(プロフ) - もう、感動の一言につきます。思わず涙をこらえるページもありました。こんな作品を生み出していただいて、ありがとうございます!この作品に出会えて良かったです! (2021年4月26日 21時) (レス) id: 8885b9410d (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - りなさん» お気持ちだけ受け取ります、これからも無料でガンガン読んでやってくださいw有難いお言葉を本当にありがとうございました! (2018年11月13日 8時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すんばらしいです。。お金払って読みたいレベルです。。素敵なお話ありがとうございました^ ^ (2018年11月12日 0時) (レス) id: e2ead3d137 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - オニク。さん» 有り難いお言葉をありがとうございました!とても励みになりました。 (2018年4月30日 14時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かえで | 作成日時:2018年3月6日 17時

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