93. 誓い ページ43
なんとか親への挨拶も無事済ませ、その数週間後。
私達は婚姻届を出しに市役所へと訪れた。
二人一緒に窓口に書類を提出する。
受付を担当してくれた職員さんがそれらに目を通してから私達に笑顔を向けてきた。
「はい、確かに受理しました。この度はおめでとうございます」
「「あ、ありがとうございます」」
思わぬ祝福の言葉に二人して恐縮しながら慌てて頭を下げていた。
市役所を出てほっと胸を撫で下ろす。
それからあぁ本当に私はてつやの奥さんになったんだなぁってぼんやりと思う。
そう、それは本当にあくまでもふわっとした感情で実感は全然沸いてこなかった。
「なんとか無事終わったな」
「そうだね、なんかちょっとほっとした」
「A、左手出してみろ」
「え、なに…」
ワケも分からず私は言われるがまま左手を差し出した。
するとてつやは上着のポケットから箱を出し開けると、そこから指輪を取り出して私の薬指にはめた。
見ればプラチナ製の細めでシンプルなデザインの指輪。
先にしていた婚約指輪との重ね付けで、左手はまた一段と華やかになった。
「これ…」
「結婚指輪、ほら俺にもはめてくれ」
てつやはそう言うと指輪の入った箱と左手を差し出してくる。
私は指輪を受け取ると、てつやの薬指にそっとそれをはめた。
なんだか急な出来事によく頭が追いついてなかったけれど、てつやの気持ちは理解できたしそして何よりとても嬉しかった。
そんな指輪を見て色んな感情から笑みがこぼれた時にてつやが私にキスをする。
何秒か重ねられた唇は、最後ちゅって軽く音を立てて離れていった。
「ちょ、ちょっとっ、みんな見てるじゃん！」
「誓いのキス」
「…ここ市役所の前なんだけど。どこで永遠の愛誓ってんの？」
「かえってこれくらいお堅い場所の方が御利益ありそうだろ？」
「すごいこじつけなんですけど…」
「まぁでもこれで晴れて夫婦だな」
「…うん、そうだね」
私達は顔を見合わせてどちらからともなく笑い合った。
てつやがこちらへ手を差し伸べてきて、私は微笑みながらその手を強く握りしめた。
これから私は絶対、永遠にこの手を離したりしない。
だからてつやも一生私の手、離さないでいて…
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かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました！これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは！完結おめでとうございます！てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です！これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます！(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました！今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです！！！子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´；ω；｀) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい！もちろんです！頑張ってください！ (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年1月24日 11時
