55. トラウマ ページ5
そんな私を見て確実にてつやは戸惑っていた。
浴衣の襟をぎゅっと掴む両手に力が入る。
震え続ける私の肩をそっと抱いて、てつやが私を覗き込む。
「おい大丈夫か、A」
「本当にごめん、びっくりしたよね」
やっぱりだめだった、相手はてつやだっていうのに…
このままじゃ誤解される、きっと。
恥ずかしくてもちゃんと話しなくちゃ。
それでたとえてつやに拒絶それても、もうそれは仕方ないから。
私はてつやに視線を合わせて口を開く。
「怖いの、私、男の人とこういうことするのが凄く怖くて」
「なんだよ、なにがあった」
「高校の時初めて付き合った人に無理矢理されたの」
私の告白にてつやが絶句したまま話を続けた。
「告白されたからなんとなく付き合って、いざそういう風になったら体が拒絶しちゃって。やめてっていったのにそのまま強引に…」
「分かった、もういい」
「その後もどんなに拒んでも私の言うことなんて何も聞いてくれなくて、その度私必死で我慢してた。その時のことがトラウマになって、それ以来あの時のことフラッシュバックするの…ごめんね、引いたよね。重いよね、こんな話…」
どうしよう、涙が溢れて止まらない。
きっとてつやにめんどくさいって思われてる。
そう思われたくなかったから、だからいつもふざけながら色んなことかわしてきたのに。
本当は知られたくなんかなかった。
私はそんな強くない…
だけど気づけば私はてつやに強く抱きしめられていて。
思いもしなかったてつやからの抱擁にさらに泣けてくる。
「なんでそんな男と付き合ったりすんだよっ‼」
怒りのこもった声に胸が詰まる。
もういっそ全て打ち明けてしまおうか…
「あの頃誰と付き合おうが一緒だった。だって本当に好きだった人には振り向いてもらえなかったんだから…」
「なんだよそれ」
「中身なんてどうでもよかったんだよ、自分が思う人に同じように思ってもらえないなら誰だろうとそんなの意味がない…」
あの頃の私は自棄になっていた。
どんなに好きになっても気づいてさえもらえないことに。
初恋は実らないって本当なんだと身を持って知ってしまったから。
そう、あの時は…
「A好きだよ」
どうして、なんで今そんなこと言うの…
てつやが髪をそっと撫でてくれて、思わず私はてつやの胸に顔を埋めた。
頭上からてつやの声が降ってくる…
「もうこんなことしないから、Aがいいと思える時まで…」
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かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました！これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは！完結おめでとうございます！てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です！これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます！(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました！今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです！！！子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´；ω；｀) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい！もちろんです！頑張ってください！ (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年1月24日 11時
