第壱話 ページ2
“捨て子” だった
そんな私を家族として迎えてくれたのは
ある老夫婦だった
生まれたばかりの赤ん坊の私を
おじいさんは山の中で見つけたらしい
私を見つけて家に帰ると急に大雨が降った
とてつもない大嵐だった
こんな雨の中にいたら絶対に助からなかった
だからおじいさんはこう思ったらしい
運のある子だと
それから私は成長するにつれて不思議な力
を見せていった
近くで大きな地震が起こる事を当てたり
軽い飢饉が起こる事を当てたり
まるで未来が見えるかのように
いろんな事を当てていった
そんな私を気味悪げに見る人もいたが
おじいさんとおばあさんは
決してそんなことはしなかった
おば「小夜はすごい子だねー、よく働く良い子、
自慢の子だよ」
おばあさんはそう言って抱きしめてくれた
おじ「小夜は小夜らしくいれば良い、
他の人に何を言われようとも
自分が正しいと思う事をやめる
必要はないよ」
おじいさんは優しく頭を撫でてくれた
幸せだった
暮らしは豊かではないけどそう思えた
私はおじいさんの仕事を手伝うのが好きだった
木を切ったり、タケノコや山菜を採ったり、
いろんな仕事を手伝った
ずっと続けばいいと思っていた
でも、心のどこかで知っていた
幸せというものほど
あっさりと音も立てずに崩れるものは
他にないということを
そんな予感が消えることはなかった
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作者名:千夜 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2019年4月14日 11時