#33 ページ3
人通りが少ないのを良い事に、ゆっくり歩く。
手は、繋いだまま。
「…こうしてると、何かデートみたいやね」
「神ちゃんの描く漫画に出てきそう?」
そう尋ねると、彼の眉に皺がキュッと寄る。
あー、ちょっと急かしすぎたかな。
漫画のこと忘れて休んでもらいたい気持ちと、ちょっと前進してほしい気持ちとのバランスがうまく取れない。
「んー…漫画に比べるとしげはかなり不器用やし鈍感やな」
グサッ。
「俺の描くカップルは手汗かかないし」
グサグサッ。
もうやめたげて、しげちゃんのガラスのハートにヒビがすごく入ってる!!
「…やけど、これくらいが本物のデートみたいで、良いのかもな」
きゅ。
神ちゃんの俺の手を握る強さが増す。
「、やろ?」
「ふふっ、傷ついてたくせに」
しげはわかりやすいんよ、と笑うなら。
俺の気持ちにも気づいてや。
「お腹空いてこぉへん?お昼ご飯食べよう」
頷いたのを確認して、軽く手を引く。
今日だけはエスコート、させて?
・
「…よう水族館でそういうの食べれるよな」
「ん?」
神ちゃんが口いっぱいに頬張るのは海鮮丼。
いや、なんというか罪悪感とかさ、湧かへん?
そんな俺の戸惑いも知らず、神ちゃんは美味しい美味しいと箸を進める。
「あ、しげも一口欲しいん?」
「エンリョシテオキマス」
まだ半分くらい展示は残ってる。
ちょっと複雑な気持ちになるからパス。
…神ちゃんとの間接キスは魅力的やけど。
「美味しいのに」
「そりゃまぁ、美味しそうやけど…」
代わりに俺のカレーを差し出すと、神ちゃんは喜んでスプーンを受け取った。
控えめな一口。
別にもっとたくさん食べてええのに。
「俺、あれ行きたいねん。ドクターフィッシュ」
これも美味しいわ、と俺の皿を返しながら神ちゃんは言う。
「ドクターフィッシュって…あのー、足の汚れ取ってくれるやつ?」
何や小っこいやつやんな?
ぼんやりと思い浮かべる。
「多分ここにもあると思うんやけどー…」
店内から外を見回して。
あ、ほら、と彼が指差す先には、言った通りの旗。
「かかとツルツルになるらしいで」
「ほーん」
うん、やっぱりこの子、美意識高いわぁ。
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ナナセ(プロフ) - ゆさん» 夜分遅くの返信ですみません。コメントありがとうございます◎ スピンオフも前向きに検討いたします。次回作もお付き合いいただければ幸いです。 (2020年12月16日 1時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます!大好きな作品で、要所要所できゅんが止まりませんでした。上手く言えませんが、本当に最高です…この物語の続きやサブメンバーのスピンオフ的なものも気になりますが、次回作も楽しみにしております。 (2020年12月15日 23時) (レス) id: c2197c2c66 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - niciさん» コメントありがとうございます。実は両片思いの二人でした…◎ 両片思いという設定を前提に書き進めていたので読み返していただけて嬉しいです! (2020年12月9日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
nici(プロフ) - ナナセさん、素敵なお話をありがとうございます*キュンキュンしながら、ほんわか温かな気持ちになれるストーリーに出会えて幸せです。番外編で緑くんの恋心を知り、それを踏まえてもう一度最初から読み直してみたら2人とも可愛くて鼻血出ちゃいます!笑 感謝を込めて。 (2020年12月9日 12時) (レス) id: ade73ad07d (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - suu1_____9ndさん» コメントありがとうございます。私も自分で書いておいて終わってしまうのが寂しいです笑 あまり長くはありませんが楽しんでいただけましたら嬉しいです◎ (2020年12月8日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナセ | 作成日時:2020年11月25日 10時