#47 ページ17
あんなに山積みになっていた書類もファイルも、数日あれば片付いた。
自分一人のためのご飯、無音の部屋。
神ちゃんに出会う前の生活って、こんなに単調だったんやな。
そうなってくると、必然的に家から足が遠のいて。
帰りたくないと思っても、流石に仕事もなしに居座る訳には行かない。
「お先です」
…まぁ、それでも定時には上がれないのがうちの会社なんやけど。(いかんせんやることが多い)
まだ人がまばらに残るデスクに挨拶をして席を立つ。
「あ、」
オフィスを出ると、誰かを待っているような佇まいの人が。
その容姿に見覚えがあって、声をかける。
「あの…神山先生の、」
…の、なんて言えば良いのかわからず言葉に詰まる。
やけどその人、淳太さんは顔を上げると俺に笑いかけた。
「あぁ、お待ちしてました」
「…え?」
・
淳太さんの待ち人は何と俺だった。
いやいや、まじで?と思いつつも彼の進む方へ着いていく。
「やー、無事に見つけられて良かった。名前聞き損ねていたものですから」
「あ、すみませんでした。神山先生の担当をしております、____出版漫画部の重岡と申します」
外で名刺を出すこともできず、あとで渡そうと決意しながら頭を下げる。
どこいくつもりなんやろ、この人。
「えーっと、俺のことはともから色々聞いてる?」
「ぼんやりと」
「そっか」
彼が足を止めたのは、オフィスから近くのカフェチェーン。
コーヒーを手早く注文した彼は、空いた席を見つけて腰掛けた。
俺もコーヒーを受け取って向かいの席に座る。
「中間淳太っていいます。商社勤めで、ついこの間まではアメリカに居て」
「優秀な方だっていうのは神ちゃんから聞いてましたけど、ほんますごいんすね」
渡された名刺を見て思わず感嘆の声を漏らす。
一応大手と言われる会社に勤めていても、腰が引けるくらいにはすごい。
「必死やったからねぇ…ともの王子様になれるように、ってそればっかり。不純な動機やろ?」
その問いかけに頷くことはできない。
神ちゃんが好きという気持ちだけでここまでのことを成したのなら、それはもはや不純だなんて言えないんやないかな。
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ナナセ(プロフ) - ゆさん» 夜分遅くの返信ですみません。コメントありがとうございます◎ スピンオフも前向きに検討いたします。次回作もお付き合いいただければ幸いです。 (2020年12月16日 1時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます!大好きな作品で、要所要所できゅんが止まりませんでした。上手く言えませんが、本当に最高です…この物語の続きやサブメンバーのスピンオフ的なものも気になりますが、次回作も楽しみにしております。 (2020年12月15日 23時) (レス) id: c2197c2c66 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - niciさん» コメントありがとうございます。実は両片思いの二人でした…◎ 両片思いという設定を前提に書き進めていたので読み返していただけて嬉しいです! (2020年12月9日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
nici(プロフ) - ナナセさん、素敵なお話をありがとうございます*キュンキュンしながら、ほんわか温かな気持ちになれるストーリーに出会えて幸せです。番外編で緑くんの恋心を知り、それを踏まえてもう一度最初から読み直してみたら2人とも可愛くて鼻血出ちゃいます!笑 感謝を込めて。 (2020年12月9日 12時) (レス) id: ade73ad07d (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - suu1_____9ndさん» コメントありがとうございます。私も自分で書いておいて終わってしまうのが寂しいです笑 あまり長くはありませんが楽しんでいただけましたら嬉しいです◎ (2020年12月8日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナセ | 作成日時:2020年11月25日 10時