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#44 ページ14

十日ぶりの新大阪。
やっぱり大阪の雰囲気はなんとなく落ち着く。
東京に行ってから無意識に入っていた肩の力が抜けるような感じがして、小さく息をついた。

「…結構変わってる」
「あー、まぁともがいたの、十何年も前やからなぁ」

物珍しそうにキョロキョロとしたともは、“あ、でもあのお店はなくなってない”とか、“あれ券売機こっちだったっけ”とか感想をぽろぽろとこぼした。
無理やり連れてきたみたいなところがあるから、純粋に帰郷を受けていれてくれている姿にホッとする。

「お墓と家、どっち先行きたい?」

とは言え長居を強制することはできない。
目的は早めに達成したほうがいいと踏んで、そう問いかけるとともはお墓と答えた。

「…オカンに挨拶しないで、家入るの忍びないし」
「そっか」
「おじいとおばあの墓?」
「そう。こっから電車で30分くらいかな。ごめんな、ずっと連れ回してもうて」

ふるふると首を振ったともは、改札に向かって進む。
お墓のある私鉄の駅を覚えているらしい。
迷いのない歩みに、ともが18年、この土地で暮らしたことを思い出す。

「そういえば大ちゃん、めっちゃ寝てたね」
「えぇ?先寝たのともやろ?」
「そんなことない。俺、名古屋あたりの記憶あるもん」
「そこだけたまたま起きたんちゃうの?」

くだらない張り合いがアホらしくなって、思わず吹き出してしまった。

「笑い事やない!俺、ほんまに起きてたし!」
「…っ、え、」
「なに?」
「いや…」

関西弁、って指摘したらもう話してくれなくなりそうで。
誤魔化すように話を変える。

「証拠に寝顔撮っとけばよかった。名古屋着く前からとも、ぐっすりやったで」
「事務所NGなんで撮らないでください」
「なんやねんそれ笑」





お墓の周りは緑も多くて、心なしか空気が澄んでる感じがする。
高原と呼ぶにはいささか立地が良すぎるけれど、街の喧騒からは断絶された土地。

「オカン、とも連れてきたで」

途中、お花とお供え物を買った。
ともはお墓に近づくとだんだんと緊張した顔になりはじめ、俺の後ろを隠れるようにして歩き始めた。
別に、生身のオカンに会うわけでもないのに。

「……久しぶり」
「んはは、カッチカチやなぁ。もうええやん、死人に口なしやで?」

そう告げても、ともの表情は変わらない。

「卒業してから一度も家に帰らなくてごめんなさい。家にいる間も、オカンの看病全部大ちゃんに任せて…」

ぽつぽつと呟くようなともの本音。
外したほうがいいかと思って腰を上げると、引き留めるようにともが俺の手を握った。

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ナナセ(プロフ) - にんさん» にんさーん!コメントありがとうございます😭 なんとか完結まで漕ぎ着けました…(電車なのに) 最後まで読んでくださってありがとうございます♡ (2023年2月14日 11時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 愛しのナナセ様🌍完結おめでとうございます✨大好きなナナセさんの世界で、こちらのお話は格別でした。線路の延伸が見える終わり、胸を撫で下ろしています。よかった✨二人とも幸せになるんだよ🎊 (2023年2月14日 0時) (レス) @page22 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2023年1月6日 16時

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