#43 ページ13
「オトンと連絡取ってたん？」
「取ってたっていうか…やっぱり未成年だし、迷惑かけたくなかったからフリーメールのアドレスだけ伝えてた。滅多に連絡来なかったよ。離婚したことくらい。オカンの体のこと、オトンに言ってなかったの？」
「うん…もう離婚した後やし、離婚原因で体調崩したなんて聞かされても気分悪いやろ？」
俺も、あん時は少しオカンに肩入れしてたところあったのかも。
弱った人を前にすると、やっぱり同情心みたいなのは湧いてくる。
オカンはオトンのせいであんなんになったんやって、理不尽なこと考えてた。
…まぁ、よそで若い女ひっかけてるのも、離婚前から知ってたし。あながち理不尽でもないのかもしれないけど。
「俺が仕事の間はヘルパーさんに入ってもらってたんやけど、ヘルパーさんの目を盗んでは薬を過剰摂取して。…死因は一応、それっぽい形で記録されてるけど」
「…そっか」
暗に自ら命を投げうったことを説明すると、ともの眉が切なげに歪む。
「前兆っていうか、未遂起こしたタイミングからとものこと探し始めてた。オトンに言えばすぐ解決したのに、ごめんなぁ。死に目に合わせてやれんくて」
「言われても、会いに行ってなかったよ。たぶん」
とは言え、会うか会わないかの選択肢を与えてやれなかったのは事実。
消えない後ろめたさを追い出すかのように、車内アナウンスが流れる。
・
東海道に沿って西へ。
静岡を抜けたあたりから、会話はほとんどなくなった。
時間が欲しいって言うたのは俺やのに、いざともを目の前にすると何も言えない。
ともに視線をやると、うつらうつらし始めていた。
有休消化の優雅な身分な俺と違い、ともは昨日もきっと仕事だったはず。
時間がないと告げた俺に対して、じゃあ今日と言い出したのはともが忙しい日々を送っている証拠にも思えた。
「…寝顔変わらへんのな」
すとんと力の抜けた眉に、ふるふると揺れる長いまつ毛。
微かに開いた唇から穏やかな寝息が聞こえる。
昔に戻ったみたい。
ともの安心しきった顔につられたのか、俺まで眠気に襲われてくる。
なんか、幸せな夢が見れそう。
ともと二人で寄り添いながら過ごしていたあの日の夢を。
いよいよ抗えなくなって瞼が完全に閉じる。
目が覚めた頃には、新大阪についてるやろか。
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ナナセ(プロフ) - にんさん» にんさーん！コメントありがとうございます😭 なんとか完結まで漕ぎ着けました…(電車なのに) 最後まで読んでくださってありがとうございます♡ (2023年2月14日 11時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 愛しのナナセ様🌍完結おめでとうございます✨大好きなナナセさんの世界で、こちらのお話は格別でした。線路の延伸が見える終わり、胸を撫で下ろしています。よかった✨二人とも幸せになるんだよ🎊 (2023年2月14日 0時) (レス) @page22 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年1月6日 16時
