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#41 ページ11

平行線なら、よかったのかも。
強く、深い交点はもう過去のこと。
日に日にともとの距離は遠くなっていく。
差が、開いていく。



拒絶の言葉ももう聞き慣れた。
むすっとした顔をしたともは、なんだか逆に子供じみて見えて、場違いやけど笑いそうになった。
立ち話で言い争うのもなんやからって、下手すぎる口実。
言い争う予定なんてないとごねられて。

“ともの好きな、チョコバナナパフェのある喫茶店行かへん?”

そう告げると泣き笑いみたいな顔して頷いた。
俺に笑いかけてくれたの、もう十何年ぶり?って感じで、心臓がぎゅって痛んだ。
自分の気持ちにはきっちりと蓋をして、気づかないふり。

「…もう時間ないねん。やから、これで最後にする」
「なにを?」
「ともを説得しようとするのも、会うのも、全部」

仕事が始まったって、とものためならいくらでも時間は作れる。
やけど、このままズルズル引き止めたって、いいことないのわかるから。

「俺と、地元帰ってくれませんか。オカンの墓参りして、ほんまにそれだけでいいから」
「……」
「お願い、お願いします」

机に擦れるんちゃうかってくらいに頭を下げる。

「なんでそんな一生懸命になんの?」
「…、」

簡単な質問。
また、何度も言い慣れたあの言葉を言えばいい。
“とものお兄ちゃんやから”
けど、思うように口は動かない。

「大ちゃん?」
「…オカンの墓参りには、ほんまに行ってほしいって思ってる。ともが傷付けられたのも、二人ともオカンに散々迷惑かけられたのも、忘れられへん。とももそうやろ?でも俺たち育ててくれたのは事実やし、けど…」

けど。

「本音は、ともと二人になってちゃんと話したい。二人きりで話す機会が欲しい。こんなふらっと喫茶店立ち寄るとかそういうんやなくて、」

逃げ場のないところ。
そうやないと、俺はきっと話すのをずっと先延ばしにするし、ともに逃げられてしまう気がするから。
やから、俺はどうしても。

「……わかった。大ちゃんがそんなに言うなら、いいよ。今から帰ろっか」

ともはそう言うと、最後のバナナ一欠片を小さな口に頬張った。

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ナナセ(プロフ) - にんさん» にんさーん!コメントありがとうございます😭 なんとか完結まで漕ぎ着けました…(電車なのに) 最後まで読んでくださってありがとうございます♡ (2023年2月14日 11時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 愛しのナナセ様🌍完結おめでとうございます✨大好きなナナセさんの世界で、こちらのお話は格別でした。線路の延伸が見える終わり、胸を撫で下ろしています。よかった✨二人とも幸せになるんだよ🎊 (2023年2月14日 0時) (レス) @page22 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2023年1月6日 16時

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