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#10 ページ10

連日、熱帯夜の続く8月中旬。
エアコンのゴォーという音が部屋に響く。
オトンの帰ってくる日。
俺たちは隠れるようにくっついて、小さなベッドで寝ていた。

「…きれいな寝顔」

力の抜けた眉は、すとんと少し下がり気味にまっすぐ伸びている。
寝顔は子供の頃から変わらないって言う。
何年後もきっと、ともはこんなあどけない顔して眠るんやろな。

あれからともは不眠に悩まされるようになった。
俺に話をして、自分の置かれてる状況がおかしいって自覚せざるを得なかったんやと思う。
糸がぷつんと切れたように、ともの心は体にSOSを出し始めた。
一人でいるのが怖い。一人で眠れない。
自分からそう言い出してくれたことに、内心ちょっとほっとした。
俺鈍いところあるし、ともは隠し事上手やから。
正反対、デコとボコがぴたっとはまったみたいな兄弟で。
まぁ俺の足りない頭じゃ、アイディアなんて一緒に寝ることしか思いつかなかったけど。
しかしそれも効果覿面だったようで、いっとき飼ってたクマもなくなった。

「おやすみ、とも」

今じゃ俺より早く寝るくらい。
ふにゅふにゅと寝言を言うかのように動くちいちゃい口が可愛くて、しばらく見つめていた。








「何ぃ、最近腰ばっかり叩いて。もう歳か?」

桐山さんはケラケラ笑いながらそう言う。
完全無意識やった。けど、まぁ理由なんてすぐ思い当たって。
育ち盛りの高校生、俺一人でも少し窮屈に感じていたベッドに二人で寝てるんやもん。

「ちょっと最近、ベッド狭くなってきて」
「成長期か?」
「まぁそんなもんっす」

とものため、間違ったことなんてしてない。
やけど、一つしか違わない高校生の弟と一緒に寝てるってよう言わんやん。
これは言ってはいけない秘密。二人だけの、隠し事。
小さい頃、秘密基地を作った時の高揚感とは違うけど、なんかそんなようなソワソワする気持ちがする。

俺がともを守る。
俺が、とものこと守る。
何度も言い聞かせると不思議と力が湧いてくる。



俺が抱いたともへの気持ちは、きっとこの時はまだお兄ちゃんとしての使命感だったと思う。

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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん!待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます!!! (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2022年10月24日 14時

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