#54 ページ24
「…同じ席に案内されてもうたな」
「ふは、もう今日はそういう運命やねんて」
最初に入ったパスタ屋さんで、同じ席に案内された。
どうしてそんなこと覚えてるのかって、すごく空いてたのに一番レジから遠い席に案内されて、呼んでも呼んでも店員さんに声が届かなかった思い出があるから。
「あ、いつの間にかピンポンついてる」
「ほんまや。進化やな」
七年弱という月日は、小さな変化を色々もたらすようで。
20代前半で若かった俺らが、もう三十路手前やねんから、時間ってやっぱり恐ろしい。
「大毅、何頼んだか覚えてる?」
「いや、流石に覚えてへんわ」
「俺覚えてるで。大毅がボンゴレで、俺はカルボナーラ」
ふふん、てちょっと笑ってやると、大毅はくしゃっと目を細めた。
「ドヤ顔可愛いから禁止。ともの反則負け」
「なんやねん、それ…」
血がばぁーって頬に集まるのを感じる。
赤なってるよな、絶対。
隠したくて、グラスに入った水を一気に煽る。
「…で、大毅、ボンゴレ食べる?」
「うん。な、ピンポン押してええ?」
「んはは、ええよ笑」
・
パスタを味わった後は、映画館へ。
約束通り大毅の見たい映画を見て、段々と眠気に誘われて。
いやいや、でも寝たあかん。
って、思ってたのに…。
「…おはよぉ」
肩を優しく揺すりながら、覗き込んでくる大毅の顔。
にぃって得意げに笑った口元からたくさんの歯が覗く。
「どう?良い夢見た?」
「ほんま、ごめん…」
一昨日は翌日の遊園地にソワソワして眠れなくて、昨日の夜も緊張でよう寝れなかったから、と心の中で言い訳する。
「ええよ。相変わらずか〜わいい寝顔でしたし。笑」
ぽん、と頭を軽く撫でられる。
元々マイナーな映画やったから、客席に人はまばらで。
上映が終わってどれくらい経ったのかわからないけど、もうシアターには俺たちしか残ってなかった。
「初デートの時より、気ぃ許してくれてるんかなと思うと、悪い気はしない」
「そら、初デートと比較したら、な。これでも緊張してたつもりやで?」
「ふふ、わかったわかった」
ちゅっ、と可愛らしい音を立てて、大毅の唇が俺の右頬に触れる。
なんだか甘えたい気分。
左頬を向けて、つんつん、と自分の人差し指で突くと意図を理解した大毅が左頬に。
「甘えたさんめ」
最後に唇と唇が一瞬触れ合って、大毅が俺の腕を引く。
「次は服選び、やろ?」
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ナナセ(プロフ) - ナナイロさん» コメントありがとうございます。もったいないほどの褒め言葉!嬉しいです涙 次回作もぜひよろしくお願いいたします◎ (2021年10月19日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ななはちさん» コメントありがとうございます。ちょっと捻った始まりにしたかったのですが、無事に楽しんでいただけてよかったです◎ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ! (2021年10月19日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナイロ(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初から最後まで全部が好きでした!最後は幸せなかみしげが見れてキュンキュンしました♪次回作も楽しみに待ってますね! (2021年10月18日 19時) (レス) @page32 id: e8246d4427 (このIDを非表示/違反報告)
ななはち(プロフ) - おまけの完結、おめでとうございます!!別れる所から始まるお話、どうなるんやろって思いながら読みすめて、最後は「そうきたか!」と言ってしまう位の展開で最高でした!次のお話はオメガで…楽しみにしてます!!! (2021年10月18日 14時) (レス) @page32 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - りえさん» コメントありがとうございます。こちらこそ毎日お付き合いいただきありがとうございました!番外編もよろしくお願いします◎ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年9月25日 11時