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#15 ページ15

「ごめん、まだ職場やって」
「そか。忙しいんやな」
「うん…人手足りないらしい」

大毅は苦笑いで肩をすくめる。

「…で、シュウの様子は?」
「とりあえず落ち着いた」

俺が示す先には、テレビを見ているシュウの姿。

「まじ?俺、ともが風呂入ってる間ずっと苦戦したんやけど」

俺も全部を知り尽くしているわけではないけど、わかる限りでお姉さんの仕事の内容を話した。
そしたらシュウ、目ぇきらっきらに輝かせて、カッコいい!って。

今日は電話できひんけど、シュウの楽しかった話は動画に撮って送ろう。
きっとシュウのママも、仕事のこと教えてくれるよ。

その言葉でシュウの機嫌は完全に復活した。

「よし!シュウ!動画撮るでー!!」

大毅が声をかけると、シュウは元気に返事する。





シュウは偉いな。
思わず呟いた言葉に、大毅が眉を上げて反応した。
俺と大毅の間、すぅすぅ寝息を立てながらシュウは眠っている。

「こうやってちゃんと我慢できるんやもん」
「うん…慣れもあるんやろけどな、悲しいけど」

ピロン、と大毅のスマホが音を立てる。

「ん、姉ちゃんから返事」
「お」
「“シュウ、元気そうで良かった。残業なので返事の動画は明日朝送ります”って」

明日きっと喜ぶな、と大毅がクスクス笑う。

「…あ、でも余計会いたくなってまうかな。ともみたいに」
「……」

付き合いたての頃、数週間会えない日が続いた。
お互い忙しくて、俺の中に不安な気持ちもあったんやと思う。
電話越しでも久しぶりの大毅の声に、涙腺がバカみたいに緩んで。

“電話なんていらん。声しか聞けへんなんてもっと辛い。早よ会いたい”

泣きながら言ったら、ほんまに来てくれて。
…若かったというか幼かったというか。
子供みたいなわがまま言った自覚はあるし、大毅のフットワークも多分、今よりもっと軽かった。

俺と別れて誰かと付き合って、そしたらその子にもそうやって会いに行くんかな。
大毅、良いお父さんだけやなくて、良い旦那さんにもなるな。

「あん時のとも、可愛かったなぁ…。俺、すげぇ嬉しかった」
「……」
「なんで無視すんねん、照れてるん?笑」
「…もう寝ました」

大毅のからかう声に顔が熱くなるのを感じて、寝返りを打つ。

「これは寝言やねんけど、……一緒に暮らさなくなってもさ、もし、万が一。万が一やで?会いたくなったら連絡してな。俺きっとすぐ会いに行くから」

背中越しに聞こえた声は、別れてからも変わらない、いつもの甘くて優しい声だった。

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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください!笑 (2021年8月31日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年8月27日 11時

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