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10,気がつけば。−トウマside− ページ12

気がつけば、そこは真っ暗闇の中。
何処かとんと見当がつかない。そもそも、自分が何故ここにいるのかすらわからない。

すると次の瞬間、その真っ暗闇がパッと眩しい光を放つ。
思わず目を瞑る。

暫くして、もう一度目を開けてみればそこは教室だった。
周りを見れば倒れているクラスメイト。しかし、何故か僕だけは座っていた様だ。

何が何だかわからなかった。
何故このようになっているのか、僕は覚えていないのだ。

考えても考えても。そして、どんなに思い出そうとしてもわからない。
そして、考えているうちに一つの異変に気がついた。

「何だろ…これ…」

一つの紙切れ。
そして、見慣れない文字。教科書に載っている見本のみたいな……。空呑さん、だろうか。
こんな字は今まで見たことがなかったし、これ以外考えられない。

「え…」

書かれていた文字を読んで、僕は驚き思わず声を上げてしまった。

“すみません、今日も早退させていただきます。”

“今日も”。この言葉に大きな違和感を覚えた。
何故“今日も”と書かれているのか、僕は不思議でならない。

昨日は早退していない。

現にそうだった。
数学の授業も、給食の時間も、休み時間も。帰りのホームルームさえ、鮮明に思い出せる。
なのに何故…?勘違いでもしているのだろうか。

顎に手を添え、僕は考える。ただひたすらに、じっくりと。
しかし、考えても答えは見つからない。

考えているうちにチャイムが鳴る。
先生は中々来ない。
とりあえず教科書を出す。

そしてしばらくすれば、「遅くなってすまない」と言って教室に入ってきた。島之内先生だ。
そして次の瞬間、目を見開く。

当たり前だ。僕以外の生徒がみんな倒れているのだから。

「月浪…。これはどうなっているんだ…?」

怒りか悲しみか。先生の顔からは何方かを感じることができなかった。まぁ、両方を持っているのだろう。

「僕が気づいた時にはもうこんな状態で…」

そう説明したものの、信じてくれそうに無い。
先生が信じてくれないのは当たり前といったら当たり前だろうが、事実を言ったのに信じてもらえないのはかなり気分が悪くなる。

「そうか…。わかった」

少し間を空けて先生はそう言った。
口からはそう述べられていたのだけど、僕に疑いの目を向けていた。

「校長先生のところに行ってくるから、ここで待っていてくれ」

そう言い残すと、先生は教室を出ていった。

11,異様な笑み。−洞潔side−→←9,二日目。



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ピカヒカリ(プロフ) - 妖姫海さん» お久しぶりです…!コメント、有難うございます!頑張ります!(妖姫海さんも頑張って下さい!応援してます!) (2019年5月23日 22時) (レス) id: c88429faf5 (このIDを非表示/違反報告)
妖姫海(プロフ) - やっぱりすごいですね・・・!!頑張って下さい!! (2019年5月23日 21時) (レス) id: 46d529bdf6 (このIDを非表示/違反報告)
ピカヒカリ(プロフ) - コロニャンさん» ありがとうございますッ…!嬉しいです…!!今から更新してきます!! (2019年5月12日 18時) (レス) id: f74e3a9ead (このIDを非表示/違反報告)
コロニャン - 何回読んでも、おもしろい (2019年5月11日 20時) (レス) id: a0b631ee37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピカヒカリ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月6日 19時

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