臨時セッター ページ39
.
縁下「ナイスレシーブ！」
慌ててボールの落下地点から離れる。菅原先輩がすぐにボール下に入って、早めのトスをレフトにあげた。
レフトにいるのは山口だったが、前衛に出ていた月島のブロックにあたりシャットされてしまった。
菅原「わり山口、ちょっと低かった！」
山口「すみませんっ！」
木下「どんまいどんまい！」
次決めてこー、とそれぞれ声を掛け合っていれば、隣にいる菅原先輩の様子が少々おかしいことに気がついた。
なにやら少し焦っているような表情。しきりに手の様子を確認している先輩に、静かに近寄った。
貴「…どうしました？」
菅原「…実は今のブロックでちょい指を…。」
＿＿突き指か。先輩の人差し指と中指にはテーピングが巻かれているが、どちらも爪が割れたり剥がれたりしないようにするための保護なので、第一関節にかかる程度までしか巻かれていない。
ブロックで手を前に出しすぎたのだろう。そこに田中のスパイクがクリーンヒット…絶対痛い。その手でよくトスをあげれたものだ。
セッターにとって指は命。すぐに冷やしたほうがいいだろうと判断した僕は、一度練習を抜けた方がいいという趣旨を伝える。自分でもそう思っていたのか、菅原先輩はすぐに頷いて烏養コーチのところへかけていった。
菅原「烏養さんすみません、指痛めたんで一瞬冷やしてテープ巻いてきます。」
烏養「おぉマジか、わかった。」
さて、これで心配事は無くなったが…新たに問題が生まれた。もちろんセッターである。
僕たちのチームは選手層がものすごく薄い。しかも他のポジションに比べてセッターは影山と菅原先輩しかいないのだ。影山はもちろん向こうのチームに入っているから、自然とこっちのチームのセッターができる奴がいなくなる。
烏養コーチもその事を理解して、うーん…と僕たちの顔を見つめていた。そして数秒悩んでから、こちらに指を刺す。
は、と間抜けた顔を晒せば、烏養コーチはニヤニヤ笑いながらうんとひとつ頷いた。
烏養「臨時セッター天野な！」
貴「…なんでっすか…。」
烏養「お前ポジションライトだろ？」
ライトというポジションはチームにもよるが基本的には、セッター、リベロがトスを上げれない状態にトスをあげたりするマルチプレイヤーだ。
スーパーエースとして扱うチームもあるが、僕らのチームはおそらく前者。
貴「これから全員Aパスで。」
田中「あのセッターくそ鬼畜だぞ。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1853人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨智よゐ(プロフ) - たまごのこのこさん» わ！！確認遅れて申し訳ありません…！！支援絵ですか！！？ありがとうございます！！！(開いた瞬間の大迫力の「好き」に思わず笑ってしまった) (2022年8月13日 12時) (
レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
たまごのこのこ(プロフ) - http://uranai.nosv.org/uploader/common/d/e/a/dea2858fab2cad5e4e674356809de6f7.png描いたのですが、これで見れるのか分かりません…大丈夫ですかね (2022年8月12日 23時) (レス) id: 96153f3877 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 雨智よゐさん» ﾎｧｯﾊｧｯｯｯｯｳﾚｼｲﾃﾞｽﾞｯ…了解いたしました‼(ハァト)(ネットリ) (2022年8月12日 0時) (レス) @page49 id: 1f05e382be (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - はるさん» はる様の描く天野が大好きですので…強いて言えば、はる様が2枚目に送ってくださったポケットに手を突っ込んでいるあの構図が大好きです！！完成待ってます(ハアト) (2022年8月12日 0時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 雨智よゐさん» アッ雨智ｻﾝｯ…雨智さんの天野くんイメ画にしますか！それとも他の読者様の絵でこの人のがいいとかってありますかね！(( ͡° ͜ʖ ͡°)ｶｻｶｻ (2022年8月12日 0時) (レス) id: 1f05e382be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨智よゐ
| 作成日時：2022年6月16日 0時
