先輩として ページ20
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日向「バレーボールはなぁ!ネットのこっち側にいる全員!!もれなく「味方」なんだぞ!!」
月島「〜〜ッ…」
田中「なんって素晴らしい名言ッ…!!」
貴「なんか聞き覚えが……。」
田中の発言を我が物顔で言い放った日向に少し引いた。
ちらりと田中の方を見たが、心の底から感心しているように見えるし多分自分が言ったってこと忘れてる。それにも引いた、もはや記憶障害じゃない?
澤村「…天野。」
貴「…?はい。」
騒ぐ彼らを異星人を見る目で見つめていれば、澤村先輩に呼ばれ振り返る。澤村先輩はいつになく余裕がなさそうな表情をしてそこに立っていた。
澤村「…及川のサーブ、獲れるか。」
貴「え、でっ…。」
「できません」と瞬時に出かけた言葉を全力で飲み込んだ。そんなこと、こんなに真面目に聞いてくれている澤村先輩に失礼だろう。
しかしそれでも、自信がないのだ。僕があのサーブをしっかりと拾えるというイメージが湧かない…。
澤村「少しでいい。月島のカバーができるほど、ほんの少しだけ広く守ってほしい。難しいのはわかるが…お願いだ。」
それでも知っていた。僕はこの人に信頼され期待されていることを。
いつもチームを支え引っ張ってくれている、大黒柱であるこの人が僕を頼ってくれていて、僕を必要としてくれている。その事実が、僕の心をくすぐった。どことなく暖かい気持ちに包まれた。
僕は固唾を飲んだあと、しっかりと頷く。僕の答えを確認した澤村先輩は満足そうに笑った。
澤村「よし、全体的に後ろに下がれ。月島は少しサイドラインに、天野は月島に寄ってくれ。」
月島.貴「「ハイ」」
みんなで返事をし、全員が澤村先輩の指示通りの場所についた。肩に力が無意識のうちにこもっていて、深呼吸をして肩を落とした。
澤村「…よし、こい!」
及川「ふーん、レシーブが得意なキャプテンくんが守備範囲を広げる…か。…でもさ。一人で全部は…守れない、よっ!!」
月島「チッ…!」
言い切ると同時に、その手から三度目の鋭いサーブが放たれた。それは一直線に月島の元へ。
こんなに月島をサイドラインに寄せたというのに、まだ月島を狙うなんて。
よほどコントロールに自信があるんだな、と、少し彼を尊敬した。
…でも。今コートを守っているのは、澤村先輩一人じゃない。
貴「__二人だ!!」
月島の前に躍り出た僕は、僕が獲るには少し高いボールをオーバーで掴んだ。
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雨智よゐ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさんこそ、こんなご時世ですのでお体にお気をつけてお過ごしください!お気遣いありがとうございます! (2022年6月14日 22時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 雨智よゐさん» 頑張ってください…!ただ、頑張りすぎて体調崩したりしないように頑張ってください(?) (2022年6月14日 6時) (レス) id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - ゆきさん» 暖かい応援コメントありがとうございます…!!これからも皆様のもとに面白さが届けれるよう頑張ります…。続編もよろしくお願いします! (2022年6月14日 6時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - 玲さん» ありがとうございます〜!🎉こんなに長々と書いてしまっている作品を未だ読み続けてくださりありがとうございます…。玲さんこそ!体調にはお気をつけてお過ごしください! (2022年6月14日 6時) (レス) @page49 id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしています!更新頑張ってください!! (2022年6月14日 5時) (レス) @page50 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨智よゐ | 作成日時:2022年4月23日 0時