story 30 ー 涼太 side ー ページ30
「いらっしゃいませー」
お店の中には、マスター1人。
「今日、Aちゃんは？」
「もう、バイト終わって、帰りましたよ」
「…そう、ですか」
急激に襲ってくる、孤独感…。
俺は、Aちゃんに
何を期待していたのか…。
そんな事も分からないのに
ここに来て…
迷惑だよな、きっと。
居なくて、少し安心して
まだ、飲みたい気分だし
適当に強いお酒を注文して、携帯を鞄から取り出す。
LINEの履歴や写真
携帯の中には、レイコさんとの思い出で溢れている。
この幸せだった頃に
もう、戻れないんだ…。
“削除”の上で指が止まる。
このボタンを押せば
全てが、一瞬で消えてしまう。
俺の気持ちも
ボタン一つで
簡単に消えればいいのに…。
マスターも気を遣ってか
特に話しかけてくる事もなくて
1人、黙々とお酒を飲む。
どれぐらい、飲んだのか
いつの間にか意識がなくなっていた…。
．
．
指先に感じる温もり…。
何故か、懐かしいような
ほっとする感じ。
「…Aちゃん？」
目を覚ますと
俺の顔を心配そうに覗き込むAちゃんがいて…
『大丈夫ですか？』
「何で…？」
俺…
寝ぼけてるのかな…
『マスターから連絡あって…』
こんな遅い時間に
来てくれたの…？
ふと
気が緩むのを感じて…。
『涼太くん…？』
Aちゃんが驚いた目で俺を見る。
あれ？
俺、泣いてる…？
まさか、人前で泣くとは思わなくて…
慌てて、指で拭う。
けど、涙腺が壊れたように
次から次に、溢れ出す。
『涼太くん…帰りましょう』
そうAちゃんは言うと
タクシーの手配や、会計やらテキパキと動いてくれて。
普段、ぼーっとしてそうなのに
意外にしっかりしてるんだなって
お酒で鈍くなった頭で感心していた。
『家まで、送ります』
呼んでくれたタクシーに
Aちゃんも乗り込む。
『あっ、家の近くまで送ります。そんな、ストーカとかしませんから！』
タクシーの運転手さんに
住所を告げる俺の声に耳を塞いで…。
そんな仕草に、ふっと笑ってしまう。
Aちゃんは、いつも真っ直ぐに俺の事を想ってくれる。
それは
俺の心に、小さな明かりを灯してくれて…
その事が
今、すごく心強く感じて…
Aちゃんは
何でいつも、俺を救ってくれるんだろう…。
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あず(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです^_^また機会があれば、描いてみたいなと思っています。 (2018年7月22日 10時) (
レス) id: 30ff9accf8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - こんばんわ。一気に読ませて頂きました^_^ このお話大好きです。完結してますが、この後のお話を読みたいです。ぜひ、お願いします。 (2018年7月6日 21時) (レス) id: 1e3e43fc2a (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - あい＊さん» 待って下さっててありがとうございます！ゆっくりかもしれませんが、とりあえず完結目指して頑張ります！ (2016年10月10日 10時) (レス) id: 86d1389d64 (このIDを非表示/違反報告)
あい＊ - ずっと続きが気になっていたので更新再開嬉しいです。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: aeb27fa9d9 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - わいさん» 放置し過ぎてごめんなさい！これから更新頑張ります！まだ興味があれば、見てくださると嬉しいです(^ ^) (2016年10月5日 12時) (レス) id: ab09cdb9d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず
| 作成日時：2015年7月19日 13時
