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story 14 ページ14

『これはどうですか?』

涼太くんの目の前のカウンターにグラスを置く。


あれからも何度かお店に来る度に、私と涼太くんの関係も少しずつ変化していって

他愛ない雑談をする回数も少しずつ増えていった。



「う、ん…」

涼太くんの顔がみるみると曇っていくのが目に見えて分かる。


グラスの中身は、お茶にノド飴を溶かしたもの。

“喉にいいモノ”とかネットで調べてみると、そんな飲み物が引っかかって。

色んな種類のお茶やノド飴を組合せてみて、涼太くんが試飲中。



『これ、柚子のノド飴だし、悪くないと思ったんですけど』


「冷えてる時は飲めなくはないけど…」

『なるほど…』


とりあえずメモっておく。



「Aちゃん、メモまで取ってんの?」


私のペンを持つ手が止まる。


自分の名前が特別な言葉にでもなったみたいに

呼ばれた瞬間、ドキンと胸が鳴る。




あの大好きな甘い声が

私の名前を呼んでいる。


その後の質問なんて耳に入ってこなくて。




「Aちゃん?」


なんか、とろけそう…




『あの…呼び捨てなんかしてもらったり?』


どんどん欲張りになる私。



「え、…なんか恥ずかしいよ」


真っ直ぐに涼太くんの瞳を見つめる私から

戸惑って視線を逸らす涼太くん。



『かわいい…』

「それ、男にとってあんま誉め言葉じゃないからね」


涼太くんの少し拗ねた表情もかわいくて。




『好きっ』

思ったまま口に出してしまう私。



「…ホンマ、こっちが照れるわっ」


涼太くんは赤くなった顔を隠すように、両手で頭を抱えて机に突っ伏す。




関西弁だあ


照れて自然と出た涼太くんの地元の言葉。



私の言葉や行動に

返ってくる涼太くんの反応全てが嬉しい。




見てるだけの時とは違う

胸の奥がくすぐったくなるような気持ち。




人間って、何て欲深い生き物なんだろ…


見てるだけで良かったはずなのに。



もっともっと色んな涼太くんを知りたくて

もっともっと会いたいって。



自分でもよく分からない気持ちが

どんどん膨らみ始めてて




「あっ、もう行かなきゃ」

時間を見て慌てて帰る準備をする涼太くん。



涼太くんの彼女の存在を感じる度に


胸の痛みが少しずつ大きくなるのも、感じていたんだ…

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あず(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです^_^また機会があれば、描いてみたいなと思っています。 (2018年7月22日 10時) (レス) id: 30ff9accf8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - こんばんわ。一気に読ませて頂きました^_^ このお話大好きです。完結してますが、この後のお話を読みたいです。ぜひ、お願いします。 (2018年7月6日 21時) (レス) id: 1e3e43fc2a (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - あい*さん» 待って下さっててありがとうございます!ゆっくりかもしれませんが、とりあえず完結目指して頑張ります! (2016年10月10日 10時) (レス) id: 86d1389d64 (このIDを非表示/違反報告)
あい* - ずっと続きが気になっていたので更新再開嬉しいです。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: aeb27fa9d9 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - わいさん» 放置し過ぎてごめんなさい!これから更新頑張ります!まだ興味があれば、見てくださると嬉しいです(^ ^) (2016年10月5日 12時) (レス) id: ab09cdb9d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あず | 作成日時:2015年7月19日 13時

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