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「Aさんってさあ、亜嵐くんの事好きでしょ?」


何で今

確かめようと思ったんだろう…。



ふと発した俺の言葉に、目の前でグラスを拭いていたAさんの手が止まる。


ここはAさんの働くバー。

マスターは店の奥、客は俺一人きり。


そんなタイミングを狙って、カウンター越しに投げかけた質問。




Aさんは亜嵐くんと高校の同級生で

GENERATIONSがデビューをした年
亜嵐くんと一緒にドラマをやっていた時

仕事帰りの遅い時間
お腹が減ったと言う俺を亜嵐くんが連れて来てくれたのが、この小さな隠れ家的なバーだった。



「うまっ」


特別メニュー、と作ってくれたナポリタンの目玉焼き乗せ

一口で、胃袋を掴まれる。


「こいつ、料理だけはうまいんだよ」


得意げに亜嵐くんから紹介されたのが、そこでバイトをするAさん。


それが初めての出会い。


将来自分でお店を持ちたいらしく、昼間はカフェ、夜はバーで、飲食店でバイトをして勉強しながらも資金を貯めているみたいで

夢に向かって頑張っている姿を、最初は尊敬の眼差しで見てた。


一緒にいると刺激をもらえるし

一人でもAさんの店に行くようになって、自然と仲良くなって…



ほんの軽い気持ち。


いつも亜嵐くんを目で追ってるなあって

亜嵐くんの同棲中の彼女の話を聞く度、泣きそうな顔するなあって…


気づく度に、いつしか胸のざわつきが大きくなってたけど

まだ今ならさらっと聞ける事だと思ってた。




『そうね、友達として好きだよ?』


そう言った表情に

どくんっと心臓が鳴って、一瞬息が止まる。


微妙な歪み。

きっと、誰も気づかない。


偽りの言葉

偽りの笑顔。


何で、気づいちゃうんだろう…。



「Aさんってさ…嘘つくの下手だよね」

『え…』


「顔ひきつってる」


慌てて手で口許を隠すAさん。




「分かりやす」

『ち、違う、これは…』


「別に…誰にも言わねえし」


避けるように携帯に視線を移す。


何だよこれ…。

思った以上にショックを受けて、うまく笑って返せなくなる。



亜嵐くんの前で無理して笑うAさん。


辛いならやめればいいのに…なんて思っていたのに。


今何でもないふりをしている俺も

Aさんと同じじゃん。





今ならまだ間に合う?


傷が浅い内に、この想いを消す事が出来るかもしれない。


それがどんなに苦しい事かも知らずに…

その時の俺はまだ、簡単に引き返せると思っていたんだ。

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りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年2月1日 2時) (レス) id: 23700234a2 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年1月25日 1時) (レス) id: ad058fd0f4 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年1月22日 0時) (レス) id: ee645294a7 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - あずさん» いえいえ(*^-^*)そうなんですね(*^-^*)頑張って下さい(*^-^*) (2021年1月19日 0時) (レス) id: ee645294a7 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - りささん» コメントありがとうございます!せめて全員描きたい…頑張ります(*^^*) (2021年1月18日 20時) (レス) id: 26814e9a22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あず | 作成日時:2018年7月6日 1時

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