知り合い(仮) . (ページ47)

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『でも…』

「Aが選んだ方でいいから。つけてくれてたら見つけれる気がする(笑)」

『出た、謎の自信(笑)』

「ちゃか！近くの海にSNS用の写真撮りに行くって！あ、電話中だった？ごめん。」

「Aだからいいよ(笑)あ、のえる！俺追いかけるからみんなで先行ってて。」

『え、いいの？』

「だってまだAがピアスつけてくれるって言ってくれないから(笑)」

『今日の海斗くんほんとに意地悪。』

「夜公演は両耳つけて出るからさ？考えといて。」

電話が切れた後はもちろん放心状態。

さっきまで飲んでた甘い飲み物も全然味がしない。

「ごめん。遅くなった。」

『全然いいけど。どこ行ってたの？』

「はい、これあげる。」

付き合ってた時はプレゼントなんてくれたことなかったのに。

『え、どしたの？』

「ピアスあけたって言ってたからあげようかなって(笑)他の人からもらってるの大切にしてるのも知ってるけど、まあたまにはいいじゃん？(笑)」

また私はピアスをもらった。

『え、ありがと。ドストライクすぎてちょっとびっくりだけど、またつけるね？』

「今つけたらいいじゃん(笑)つけてあげよっか？」

海斗くんからの電話を忘れたわけじゃないけど、用心しなきゃいけない。

だから、いいよね。今つけても…

『んー、せっかくだしつけよっかな。』

私は元彼からもらったピアスをつけた。

「お、似合ってるじゃん。」

心が少しざわざわしたけど、気づかないふりをした。

『ありがとう、大切にするね。』

心から笑えない私。

『じゃあそろそろ行こっか。』

自分の気持ちに素直になれない私。

少し重たい足取りで会場に向かった。