知り合い(仮) . (ページ14)

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『ごめん、私ちょっとお手洗い行ってくるね。』

バイトしてたからどこに何があるかなんて把握済み

だからつい癖で従業員専用の通路を通ってしまった。

『店長…。あっ、すいません私、間違えました。』

「Aさん、久しぶり。元気してた？」

久しぶりに見る店長は少し痩せてた。

『はい、知り合いの店でバイトさせてもらえることになって、なんとか元気にしてます。

　店長は、大変そうですね…』

「今の子はみんな芸能人の相手なんてできないね。俺の見る目は正しかったのかもしれない。Aさん戻ってくる？」

『いえ、私にはもうここで働く資格はないので…』

「Aさんの意思が固いこと、分かってるよ(笑)そこがいいとこだからね。まあ気が向いたら戻ってきてよ。」

ほんとは一瞬店長の言葉に甘えようと思った。そんな弱い自分が嫌だった。

『ごめんね。ちょっと店長と話しててさ。』

「あ、うん。全然いいんだけどさ、」

『ん？』

「Aのお兄さんって、今何歳くらい？」

『んー多分24かな。』

「俺さっきイケメン2人組にめっちゃ見られたけど、知り合い？」

『ううん、私の知り合いにイケメンはいない。』

「んー、そっか。じゃー帰るか。送ってくわ。」

『ん、そうだね。』

ちゃんと約束は守ってくれるんだよな。

『誠実そうに見えるのになあ、』

「ん？なに？」

『あ、声出てた？ごめん。』

「なに？俺の悪口？」

『そう。いい人なのになんでそんな女癖悪いかなあって。』

「それは俺も知りたい(笑)あ、家まで送るよ」

『それはさすがに。彼女さんと早く仲直りしなね。』

元カレと別れて家まで1人で帰るのは不思議な気分で

『私も幸せになりたいなあ』

そんな独り言も誰も答えてくれるわけなくて。

足早に家に帰ろう。そう思った時、私の電話が鳴った。