2日目 ページ3
「え…？放火された？」
俺の耳に飛び込んできたのは、自分の家が放火されたということ。
聞こえていたのか、周りがザワつく。先輩が心配そうにこちらを見ている。
『うん…放火したやつが大家とトラブルを起こしてたみたいで…それで放火したらしい』
「うわ……まじかぁ…」
俺帰るとこねえじゃん。どうしよ。中学や高校の友達は皆北海道にいる。泊めてくれなんて言えない。うわ………。
幸い、お金はほとんど銀行に預けていたため割と無傷。
それでも、帰るところがないのは辛い。どうしようか。
『とりあえず俺ん家来る…？』
不安そうな、どこか緊張している声で兄が尋ねてくる。
「え…いいの？」
『！？もちろん！！逆に来て！！お兄ちゃん寂しい！！』
「うん。ありがとう。そろそろ仕事終わるからお兄ちゃんの家行くね」
『おう…！待ってる！！！』
電話が切れる。いきなり声が大きくなってびっくりしたが、喜んでいたから良かった。
俺も若干…いや、かなり嬉しい。兄にそう言ってもらえるとは正直思っていなかった。まあ…あの優しい兄だから言わないことはないと思うけど。
「Aくん、大丈夫？」
「はい。帰る場所、できましたよ」
多分俺の顔は今満面の笑みだと思う。自分でも浮かれているのが分かる。
「そっか。良かった。お兄さんの家と僕の家近いのかな…」
「うーん…分かりません…そこそこ…？」
「そっか…Aくんが良ければ近くまで行ってもいいかな？」
「はい、大丈夫ですよ」
「！ありがとう！！」
兄は超人気ゲーム実況者だけど家の近くまで先輩連れて行って大丈夫かな。家特定とか…。少し離れたとこでなら大丈夫…かな。
とりあえず仕事終わらせなければ。
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作者名：ゆきまる | 作成日時：2024年10月11日 22時
