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「新くん、これ」
「ありがとう」
申し訳程度に置かれた丸テーブルに、新くんの分のホットココアを置く。
………聞きたいことは山ほどある、のに。聞き方が分からない。
「……この前途中から聞いてなかった？もしかして」
「ゔっ」
な、なんでと慌てふためくと、私の好きな顔で新くんが笑う。それから息を整えて、「ごめん、よく分からないから待っててって言った」と話す。
「……式まで考えた」
「…うん、」
「伏舞さんのこと、どう思ってるかは正直よく分からなかった」
「本末転倒…」
結局脈がないと言われているようでそう突っ込むと、「でもね」と新くんは続けた。
「…おれから見た伏舞さんは、目が離せないの。たまに本の向き逆で戻してたり、お弁当食べる時箸逆さまに持ってたり、言い間違いをあの萩原に冷やかされてたりで、見てて飽きない」
「よく分からないけど、今日伏舞さんが来ないって知った時に思った。このまま会えなくなるのはもやもやするなって」
急な言葉に、心臓が止まりかける。
「ずっと一緒に居たかったから、萩原から聞いたあとね、気付いたら走って会いに行ってた」
……それは少なくとも、友達以上だ。
新くんが少し考えた後、理解したかのように「…そっか」と付け加える。
「おれ、伏舞さんのこと好きなんだ」
今気付いたと言うその言葉で、かあっと顔が赤くなる。
「……伏舞さんがすき、」
そう言い直して、急に振り返る。告白をし直した新くんの目が、真っ直ぐ私に向く。
「おれと付き合って下さい」
それを待たずにぎゅっと抱き着くと、驚いたように受け止めてくれる。
「綺麗だね、襖雪」
「うん、綺麗…」
ぶらんとした手を握ってそう言い返す。
新くんは優しく微笑むと、私の手を優しく握り返した。
Fin .
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作者名：氷 雨 | 作成日時：2021年4月24日 0時
