Little Sugar ． (ページ20)

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「ごめんなさい、学校終わってからここ来るの疲れたよね?」
　「あ、いえ……であの、何を…」

　あ、これこの前会った時忘れてたから、と加琳さんはバッグを探る。その中から栞を出すと渡してくれた。

　「新に頼んで渡してもらおうとも思ったんだけどね、多分それはだめかなって」
　「え？……」

　……そういえばこの栞、自分で作ったやつだ。雪のマークでさが自分だと分かるようにして…

　ぺらりと裏をめくると、新くんと遊んだ時撮ったプリクラが目に入り、慌てて伏せる。

　「あ…ありがとうございます…」
　「ふふ、やっぱり新のこと好きなんだね、そんな気してた」

　顔に書いてあるよAちゃん、と言われ咄嗟に頰を押さえた。

　……こんなに、優しい人なら。

　「…メッセージで新くん、私のことなんて…」

　ずっと気になっていたことをぶつけると、加琳さんはきょとんとする。そのあと少し嬉しそうに笑うと、「あの子昔から自分の気持ち理解しないまま成長してるんだよね」と切り出す。

　「だから肝心などう思ってるかは本人から聞いたことない」

　つきんと胸が痛んだあと、加琳さんは「でもね」と続けた。

　「一緒にいて楽だし、隣にいると落ち着くっていうニュアンスは出してたよ」

　望みあるどころか早くくっついて欲しいくらいと笑った加琳さんの声に、私は脳内の考えをまとめる。

　……ずっと迷ってた、けど。卒業したら、もう新くんに会えないかもしれない。

　それは、嫌だ。

　その日の夜に私がまずしたことは、最後の登校日。カレンダーに赤い丸とハートマークを書くことだった。