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「A内定決まった?」
「内定っていうか進学ね、私就職しないから」
特に波風立てず、平和に過ごしていたのも報われて、私は推薦入試を終えたばかり。一般よりずっと早いタイミングで、みんなより先に受験を終えた。
このタイミングで受験するか、留年しないと私の将来は決まらなくなったから。
同じ大学に行こうねと約束していた藍那は、一般公募だから私より後の受験だ。
「Aは良いよね、だってもう終わりでしょ?」
「結果来るまでは割と不安だけど一応ね笑」
クラス委員の基くんも推薦だって話してるの聞こえたし、クラスの数人は私と同じみたいで。
「新は進学だっけ、どこ行くんだよ」
「………」
当の新くんは寝てるから、少し心配なんだけど。
「……卒業式来れるか、そろそろ確定した?」
藍那の声に、顔を曇らせる。
ごめんね、藍那。
それだけで察したのか、藍那は「証書さ、先生から引ったくって渡しに行くわ」と笑顔を作る。
新くんには言えなかった、結局。
冬休み前最後の登校日を最後に、私は卒業式を待たずに卒業する。
………病院の、ベッドの上で。
その日までは片手で数えられるようになった今日、学校を後にしてからカフェへ走る。
「Aちゃん」
「加琳さん」
彼女に呼ばれていた私は、カフェオレを片手に加琳さんの待つ席へ座った。
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作者名:氷 雨 | 作成日時:2021年4月24日 0時