Little Sugar ． (ページ16)

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結局の所、あの日海月に私を重ねても新くんへの寄生は辞められなかった。まだ身の程を弁えずに、新くんの友達をやってる。

「伏舞さん、これどこ？」
「読み物だから入口の上から2番目だね」

すげ、そんなすぐ分かるんだと言いながら本を仕舞う新くんを目で追う。相変わらず顔が良い。

「ここの本全部覚えてるの？」
「さすがにそこまてじゃないけど、そこだけなら」

図書室へ生徒を動員する為だと揃えられたのは、所謂病気系の泣ける小説。生憎図書室の位置すら覚えてない生徒が多半数で意味は成してないけど。

それでも通い続けた結果、私の脳は置いてある小説を丸暗記するくらいには成長した。

「へぇ、すごいなぁ伏舞さん」
「そうかな、…」
「興味はあるけど読むの苦手だもんおれ」

ふと脳内に、新くんと2人で本を選ぶ妄想が浮かぶ。それからそれは凄く楽しそうだった。

「じゃあ、選びに行く？今度」
「え、」

口にして、3秒。

事に気づいた私ははっとして、あたふたと手を横に振った。

同時にまた自分が嫌になった。

「あ、いや、えっと、」
「行こうよ、行きたい」

そう言った新くんの顔は、どこか嬉しそうだった。