新 く ん . ページ12
休みが始まって早々、おしゃれに力を入れるとは思わなかった。
そう思いながら、シンプルなモノトーンのセットアップとお気に入りのコーディネートを丸々引っ張りだして体に当てていた。
冒険しないなら勿論前者だ。でも後者はあんまり女の子女の子してないのに柄とか色の組み合わせが可愛くて気に入ってる。
……私外見気にする人だったっけ。
冬寒いからタイツ履いてるのと一緒だ、と言い聞かせながらそのコーディネートに身を通す。
'自分の好きな服を堂々と着ている女の子程格好良いと思ってます。"
好きなシンガーソングライターさんの言葉通り、私の好きなものを佐藤くんにも可愛いって言われたい。そういう我儘も込みの選択だったと思う。
「お待たせ」
「あ、伏舞さんおはよ」
私は準備あるから佐藤くんと来て!と藍那の策略含めて遊びに誘われて、私は待ち合わせの噴水広場で片手を上げて挨拶をした。
「……」
「新くん?」
新くんは私をじっと見て顔を上げる。
「いや、可愛かったから」
不意に言われた可愛いに心臓が止まりかける。
「うん、あ、ありがとう…」
「雪付いてる、かわいい」
…雪?
新くんの視線の先を追い掛けて、恥ずかしくて顔が赤くなった。
襟元に雪の刺繍したの忘れてた。
誤魔化すように先を急ぐと、新くんが微笑む。
その笑みがまた心に張り付いてどきっとした。
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作者名:氷 雨 | 作成日時:2021年4月24日 0時