佐 藤 さ ん ． ページ2
がらり。ドアを開けると、一斉に皆の目が私に向く。
気を使って後ろから入っても、 先生は授業を止めないし、他の子も気に止める様子は無いまま向き直った。
申し訳ないのと有難いのでそろそろと席に行くけど、 やっぱり話しかけられないとそれはそれで寂しい 。
しれっと椅子を引いて、 息を吐いた、 そのタイミング 。
「おはよう、」
「え、？」
静かな小さい声が聞こえた。
「おはよ、
少しだけ後ろに向いた顔は 、 そうそう居ないだろう私の苗字をこそこそと呼びながら微笑んで振り返る。
「え、お、おはよう、佐藤さん……」
'遅刻気味のおひとり様女子” 。私、 伏舞 A に代名詞を付けるなら多分それだ。基本的に絡む子は1人だけいるけど、大勢で群れるってよりかはその子と2人で話してる、教室の隅にいる子。
それからもうひとつの言葉で私を語るなら………先に言おう。別に高望みしているわけじゃない。
佐藤新くんのヲタク。
恋愛感情では無い。そんな感情抱けるほど近付ける人じゃない、ただ可愛い彼のファンなだけ。
同じクラスで、前の席で、可愛い顔して、ちょっと抜けてて。でもその割にお年頃男子って面もある、ギャップの沼に、推さずには居られなかった。
だから、思いもしなかった。
まさか、この人が後々私の彼氏になるなんて。
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作者名：氷 雨 | 作成日時：2021年4月24日 0時
