検索窓
今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:26,071 hit

抽 出 . ページ3

「………!!」



横から控えめにちょんちょんと肩を叩かれて、はっと目を覚ますと、ゆっくりと顔をあげて周りを見渡す。

何か、さっきより夜が深まって明かりがカラフルになって……



「あ、ごめんなさい、疲れてそうだったから、」



今、何時だっけ。

スマホの時間はもう18時を回っていた。次の電車は30分近く来ない。



「もしかして、乗り過ごしたとか?もっと早く着けばよかったかな〜、」



ひょいっと顔を覗き込んだ男の子は、心配げに眉を細めた。



「え、あ、ご、ごめんなさい、寝ちゃってたんだ私……」
「誰も起こす気配ないからさ、びっくりさせました?」



敬語ってことは年下なのかな、可愛い顔してる。



その男の子は、オシャレなモノクロコーデで隣に座ると「えへへ、」と微笑む。

「本当すみません、起こしてくれてありがとう、……」
「ううん、あ、待って今の俺完全不審者だよね、」

1人であたふたすると、男の子はびしっと姿勢を正す。



「俺、松井奏です、新成人でアパレルの仕事してて、」
「え、あ、っと……わ、私は……」

こうやってすっと話せないとこも、役立たないんだろうな。自分に少しイラッとしながら言葉を絞り出す。



「えっと、……水澤 A、です。……わたしも新成人で、その……」
「え、同い年!?」



大人っぽいね!?と、松井さんが驚いた顔をして私を見た。

よく言われることだから、素直に頷くと「よく言われます、 22歳くらいかなって、笑」と微笑んだ。

その大人っぽい、も可愛げ無いってことに取れるけどねと心で付け加えて。

「いや〜気持ち分かる、こんな綺麗な色気あったら20歳超えてると思っちゃう」




……… 綺麗、なんてお世辞でも初めてでふいにどきっとしてしまった。

「あ、てか次30分位も来ないんだよね、水澤さん?はどれ乗るの?」
「45分の、です、……松井くんは、………」
「その1本後、じゃあお互い時間あるのか……」

松井くんはにやりと笑って立ち上がった。


「よし、じゃあ水澤さん!30分だけ付き合って♡♡」
「…………は?」

主語のないその言葉に、出てきたのは間抜けな声だった。

混 合 .→←中 細 挽 .



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
設定タグ:IMPACTors , 松井奏 , 鈴木大河
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:氷 雨 | 作成日時:2021年2月2日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。