8. 知っている ページ10
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「ところで…貴方の用事は何?」
「申し訳ありませんが、お答えしかねます。
それに、
我々の仕事など貴女は知らなくて良いのです」
流石にそこまでは教えてくれない。
「では貴方が『用事』を済ませる間、
私をどうするつもり??」
「…今から向かう店で
私が迎えに行くまで待機して頂きます」
へぇ、と聞き流そうとした。
…え?
「貴方…私を1人にするという事??」
「そうです」
何のためらいもなく来た返答に拍子抜けした。
だってそうでしょう?
何年間も…見張られて生きてきた。
それなのに…私を外へ連れ出してくれた上に
外の世界で私を1人にするの?
「…もしも、よ
もし、私が貴方が目を離した隙に逃げたなら
貴方…殺されてしまうかもしれないわよ?」
彼は私の方をじっと見つめた後、フッと笑った
「…貴女は逃げない。
私はそう知っていますから」
またもやどういう意図を持った発言なのかは
分からないけれど
彼の言うことに間違いは無かった。
そういえば今までで一度も、彼の予想は
外れた事がなかったように思える。
「…少し賑やかな店ではありますが、
ここのお店でしばらくお待ち下さい。
私は2時間程度で戻って来ます」
連れられた先は、カジュアルな雰囲気の
観光客にも入りやすいカフェ&バーだった。
時間帯が夕方というのもあって、その店ももう
バーの雰囲気に近かった。
彼がここに連れて来てくれたのは、
きっとこのような場所に行ける機会が
もう2度と無いからなのだろう。
優しい人だ、彼は。
店主の男性は私と彼を見て、目を丸くした
おそらく私たちが、ベルガラールの貴族に
見えたのだろう。
「…珍しいお客様方だ、お2人ですかね?」
使い慣れないであろう言葉で声をかけてくれる
ベルガラールで働くのは、大抵違う国の人間だ
出稼ぎ目的で来る人もいれば、
私のようにベルガラールに買い取られて
働かされているレガト人だって多い。
この人もきっと
ベルガラント人ではないのだろう。
「…いいえ、こちらの女性を2時間ほど
預かって頂きたいと思っておりまして」
ライズが簡単に説明すると、主人は快く
了承してくれた。
「ではお嬢様、ご迷惑をお掛けしないように」
分かっている、そんなことくらい。
そう思いながら彼を見送った。
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Mona(プロフ) - アヤさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます( ; ; )これからものろのろ更新ですが気長に待って頂けると嬉しいです!これからもよろしくお願いします(^^) (2019年12月8日 0時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 早く!続きが読みたくて、うずうずしています。かっちゃんとステラの葛藤が待ち遠しいです。いつまでも次の話待ってます(*´ ˘ `*) (2019年12月7日 10時) (レス) id: ffe771d046 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - あすまさん» ありがとうございます!これからも亀更新ですが頑張りますね( ; ; )よろしければ他の作品も覗いてやってください(^^) (2019年11月27日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
あすま(プロフ) - 最後までいっきに読んでしまいました!とっても面白いです!更新楽しみにしています!応援しています頑張ってください! (2019年11月25日 1時) (レス) id: 0aabcfb8f7 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - siroさん» ありがとうございます!これから面白くしていくつもりですので最後まで見届けて頂ければ嬉しいです(^^) (2019年10月18日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st
作成日時:2019年9月27日 20時