【爆豪勝己】仮面王女の鎖

6. 役割 ページ8

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車で大体15分。
城下町のすぐ近くまで辿り着いた。



後ろの窓から見えるベルガラール城は
世界の『美の象徴』に相応しい。



「…この場においては、貴女の事を『お嬢様』と呼ばせて頂きます。

誰が何を聞いているかは分かりませんので


今だけは…不服でしょうが
ただの貴族の娘という事にして下さい。」



20年前、誕生した時から
世間に公表されている王女の名、『ステラ』は



国民が使用してはいけない名前となっている。




王族の名前は唯一の物であるという原則の下、
制定されているルールなのだろう。


つまり私がステラだとバレてしまう事は
『まだ』許されないのである。



「ええ、分かりました。

ライズさん、貴方は『ライズです』」



ライズさんはまたしても深いため息をついた。





「…前々から申し上げておりますが
貴女は絶対的な主人、私は従者です。

他の使用人にも敬語を使っているようですが
周りの人間からは可笑しく思われますよ。


いい加減、
我々の扱いに慣れて頂きたいものです」




彼の小言に、私は頷くしかないが
おかしな話なのはどちらなのか。


どこにいるのだろう、
主人を殺す事を許可された従者が。







だけどとりあえず、今だけでも



「…分かったわ、ライズ」




私は『普通の貴族の娘』になる。



それが私に今課せられた『役割』だ。

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