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30. 無力 ページ32







「話の理解が早いな。
明日は『ステラ』の名に恥じぬ姿を期待する。

俺からは以上だ」



食事には一切口をつけないまま
彼は立ち上がった。



「…言い忘れていた。

お前は世間に公表すれば、もうほぼ用済みだ
病で死んだと言えば済む話だからな。


少しでも不審な行為をすれば、即座に殺す。
ライズ、分かったな?」



その鋭い視線にも全く動じずに


「承知致しました」



そう答えるライズ。




「陛下、お食事はよろしいのですか?」




「構わん、下げろ」



その言葉でライズは出口の扉を開ける。


「…お待ち下さい」



私はそう呟いていた。

最初は自分でも驚いた。

だけど次国王に会った時に絶対に聞こうと
心に決めていた事があった。




「…私のかつていた村の…レガト人たちは
生きているのですか??

豊かな生活なんて期待していません。
それでも…食べ物に困らないような生活を
送れているのでしょうか」





ライズの顔が少しだけ歪んだ。そこからは
焦りのような動揺のような何かが伺える。



披露宴を明日に迎えた今なら
絶対に殺されない。その確信があった。




しばらくの間、沈黙の空気が流れる。

そしてそれを消したのは、彼の笑い声だった。




「俺が知っていると思うのか?レガト人の命の
如何など俺にとってはどうでもいい。


そしてお前にとってもだ。
忘れるな、お前はもうそんな事を考える必要も無い」





そう言い捨てて立ち去った。

ライズは彼の後を追いかける。





1人になった私は、料理に手をつけていいのかも
分からなくて

ただただ彼が帰ってくるまで座っていた。



そしてこの後に及んでも、かつての仲間達に
何もしてあげられない自分を恨んだ。

31. 名を呼ぶ2人→←29. 飾り物



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Mona(プロフ) - アヤさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます( ; ; )これからものろのろ更新ですが気長に待って頂けると嬉しいです!これからもよろしくお願いします(^^) (2019年12月8日 0時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 早く!続きが読みたくて、うずうずしています。かっちゃんとステラの葛藤が待ち遠しいです。いつまでも次の話待ってます(*´ ˘ `*) (2019年12月7日 10時) (レス) id: ffe771d046 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - あすまさん» ありがとうございます!これからも亀更新ですが頑張りますね( ; ; )よろしければ他の作品も覗いてやってください(^^) (2019年11月27日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
あすま(プロフ) - 最後までいっきに読んでしまいました!とっても面白いです!更新楽しみにしています!応援しています頑張ってください! (2019年11月25日 1時) (レス) id: 0aabcfb8f7 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - siroさん» ありがとうございます!これから面白くしていくつもりですので最後まで見届けて頂ければ嬉しいです(^^) (2019年10月18日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st  
作成日時:2019年9月27日 20時

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