【爆豪勝己】仮面王女の鎖

27. 笑う少女 ページ29

【城内にて】









いよいよサミットの2日前___
私が世間に公表される2日前にもなると

私にもやるべき事が増えてくる。



まずは公表の流れを把握して、渡された台本の
ようなものに書かれた言葉を覚える。



衣装の試着などの確認。

城内にも一部の国の国賓が既に到着しており、
無闇に歩いて姿を見られてはいけないため


私の部屋とその隣の衣装部屋に人は出入りする

とても慌ただしい。大変そうだ。

それも納得できる、何故なら彼らは失敗すれば
きっと国王に殺されてしまうのだから。




「ステラ様…とてもお美しいですわ！」



ドレスの着付けをしてくれたのは
私より3歳ほど下の若い女の子、リラだった。


数多くいる使用人の中で彼女を覚えていたのは


1番…明るくて、良く笑う女の子だからだった。

とは言え、ベルガラント人の使用人達からは
かなり注意されているようで

私の前だけでしか笑ってくれないのだけれど。


彼女はレガト人だとライズから前に聞いた。
恐らく…その端正な顔立ちを見れば

ベルガラント人に買い取られて来たのだろう。




私と変わらないはずなのに

この子は私の前だけでも笑ってくれる。
なんて強い子なのだろう。



「…ありがとう」


そう返すとまた彼女はニッコリ笑った。


その時ふと思った。
この子は幸せなのだろうか、と。

だけど私は彼女にそれを聞くことはできない。

私が彼女の素性を知っていると分かれば、
彼女は恐縮して笑わなくなってしまうから。




彼女が幸せかどうかはわからない。




だけど、私のようにはならないように

私の前だけでも彼女が自分らしく笑えるように




私にできることはそれだけだ。






………

☆余談



ベルガラール城に仕える使用人は兵士を除いても100人以上います。そのうちの2割は昔から
ベルガート家に仕えたベルガラント人で、残りの8割はレガト人となります。

ベルガラント人とレガト人の区別は見た目では
つかないので、基本的に国王以外の王族には
伝えられません。ただやはり使用人の中では
レガト人への差別は多少あるみたいです。なお
ベルガラール国で働くレガト人は強制的に名前を変えさせられ、名字は剥奪されます。


Aがレガト人だと知っているのは、
昔からいたベルガラントの使用人と国王そして
ライズだけです。

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