【爆豪勝己】仮面王女の鎖

20. 嘲笑 ページ22

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『貴女に幸せになって欲しい』




ライズは



私を宥めるために言ったのか、

それとも本心なのか。




私にはどちらなのか分からない。



だけどほんの少しだけ


ライズの顔が悲しそうに見えてしまったから


私はそれ以上何も聞けなかった。





「…もう部屋まで1人で戻れるわ。

今日は1日本当にありがとう。
貴方もゆっくり休んでね、おやすみなさい」





私はライズの前を通り過ぎて自室に向かう。


振り向かずに背中で
彼の『お休みなさいませ』と返す声を聞く。





部屋に戻ってドアを閉めた瞬間に力が抜けた。



私は何て恐ろしい事を言おうとしていたのか。


言ってもライズを困らせるだけだ。
いや、手を煩わせるの間違いかもしれない。




私は勝手にライズに
気を許しすぎたのかもしれない。



彼にとって私はただのレガト人。私が不審な動きをすればいつ殺しても問題ないと思っている



だけど私はライズを憎むことなど出来ない。


いつだって1番私のそばにいてくれるのは彼で、
私と向き合ってくれるのも彼だけだから。





そう考えると、矛盾が生じる。


もし、さっきの言葉が嘘でないのなら
ライズにとって私は何なのだろう。



恋愛ではないことは確かだと思うけど…

考えたって…分からない。





改めて見てみると


1人には広すぎるこの部屋には何も無い。


私のお気に入りの物もなければ、
興味のある物も何１つない。




どうやってこの退屈な空間で過ごせていたのか
思い出せないのは、



外の世界を知ってしまったからだろうか。







自由の為に戦うヒーロー



彼に出会ってしまったからだろうか。





あの時、覚悟を決めて


『自由になりたい』とでも彼に言えば


今頃何かが変わったのだろうか。





…いいや、変わらなかった。



私の運命は変わらない。

どれだけ抵抗しようが、
私はきっとこの大きな鳥籠の中で生き続ける。

そうでなくなる時は、死ぬ時だけだ。





そうやって、私は一生振り出しに戻り続ける。



虚しい。涙が出てきそうだけど、

それすら枯れ切ってしまって


私は自分で自分を嘲笑う事しかできない。

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