【呪術廻戦】補助監督鍵ちゃん 2

59. クズとクズ ページ21

【鍵兎side】



『…自分で出来ます』

「怪我人は大人しくしてなさーい」




最悪。クソ痛い。
術師なんてやるもんじゃない。そもそも
補助監督でもこうやって扱われるのどうなの？


こっちはスーツで動きにくいのに特級の相手
させられてさぁ。


あの子らの命が助かったと思えば安いけど。


全部この包帯巻いてるクズのせい。





「…スーツ破れちゃったね。弁償するよ」

『いーです買ってもらうんで』

「誰に？」

『パトロン的な誰かさんに。

あーあ、これ傷残るだろうなぁ。
ざっくりイってるもん』



適当に喋ってるけどマジで痛いし
たぶん長女だから我慢できた。偉いね私…。

失血して死ぬんじゃね？なんか
頭クラクラしてきてる気がしなくもないもん。

でもコイツの前で倒れるのは癪に触る。ので
気力で意識保ってる。


何を言ってんだ、私。自分でも分からない。


今はもう幻覚すら見えててもおかしくない状況だし。ある意味でハイだわ。うん。


『…私の夢は、幸せになる事です』

「ん？」

『結婚したいんです。
楽して生きていきたいし孤独死は寂しいので。

パトロンとかいらねぇから私に隠居ライフを
提供してくれて私より長生きする男と』


この男、感心したように笑ってやがる。



「いやぁ、クズの発想だね」

『アナタにだけは言われたくない』

「それでいて1発で叶う夢じゃん」

『人の話聞いてます？』


巻き終わった包帯をトントンと軽く叩いて
この男は目隠しを外して私を見た。


「聞いてるよ。で、その夢って

僕と結婚すれば叶うんじゃない？」


本当このクズ、いったい同じセリフを
何人に言ってんだか。


「僕たちクズ同士合うと思うんだよね」

『ヤダわ』

「何で？」

『うぜーじゃん』

「雑くない？
とりあえずそろそろ硝子のとこ行こうか」

『もういい1人で歩ける。どうぞお帰り下さい』

「つれないなぁ未来の旦那さんに」

『ここまで来ると引くわ』



本当に

この男と居るとロクな事がない。

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