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躊躇ってなに(※欠損表現あり) ページ40

※欠損表現あり





センパイやジャックたちと協力して少しずつ動きを鈍くさせているが、これじゃあ寮長の命の方が先に尽きてしまう。

遠慮はいらない、殺.す勢いじゃなきゃ。

稀に影は獲物を深追いして寮長の背中から離れることがある。そこを狙って背後に回れば、寮長本人への攻撃もできるかもしれない。



『センパイ、囮になってくれよ』

「ハハッ、手負いの先輩に容赦ないッスねぇ」



機動力は彼が1番。身軽だし上手く交わせるだろう。

影の標的がラギーセンパイになると、予想通り寮長の背中はガラ空きになる。驚いて振り返った彼の首に指先が触れた瞬間、




「A!!!!」



影が僕の腹を切り裂き、左腕に噛み付いた。そのままブンブンと振り回され、肩まで血が伝うのを感じる。

あと少しで届いたのに。



「くそっ、いま助けに…!」



背中に手を回し、腰に提げていた"盗んだブツ"をすらりと抜き取った。



「あれは……鉈!?」

「ちょっ、A!殺しちゃダメッス!!」



制止の声は無視して何の躊躇もなく振り下ろし、









·








自身の左腕を切り落とした。





·









スパッと綺麗に切り落とすと、不意をつかれて影も寮長も隙が生まれた。

即座に寮長の懐に入り頬に回し蹴りを一発、よろけたところに鉈の柄を打ち込めば、ぐらりと体が傾いた。




『オイ魔法封じ!!』

「ッ、あ、あぁ…【首をはねろ(オフ·ウィズ·ユア·ヘッド)】!」





カチ、と鍵がかかる音がした。今度こそ魔法がかかったようだ。

みるみるうちに影も禍々しい気配も消え、砂嵐も止む。

影がいた場所には僕の左腕が落ちていた。





色々起きすぎたせいか、寮長が倒れた後も沈黙が重かった。

鉈は一度振って血を払ったあと、腰に提げたホルターに戻す。

切り落とした左腕を右手で持ち上げると、怒った目をしたラギーセンパイが掴みかかってきた。



「A!!アンタとオレは似たような育ちなのは知ってたッス。だから、なんであの時卑怯だなんてオレたちを罵ったのか意味わかんなかった。

まさか…今まで受けた"理不尽"の数々…ッ全部、腕を切り落としたみたいに「しょうがない」って諦めてたんスか!?」

『…センパイ、僕体治したいんだけど』

「…ッ」



スラム育ちのセンパイはともかく、ハーツラビュルのセンパイ方やジャックは青い顔を背けている。






一般客には刺激が強すぎたようだ。

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作者名:くろかは | 作成日時:2020年3月24日 15時

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