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「自力で降りれんのか?」
と聞かれたが。“貴方が居なければ簡単に降りれます”とは言えない。どう返答するか悩んでいたら
「受け止めてやるから飛べ」
『え?』
両手を上に広げて、“飛べ”って言ってくるジン。
(……こいつ偽物なんじゃね?そっくりさんか?)
なんて失礼なこと考えながら、動かないでじっとしてたら「さっさとしやがれ!」と、鋭く睨み付けられ怒号を頂いた。これは本物だと確信するしかない。
両手を広げる彼目掛けて、飛び降りる。衝撃などまったくなく、軽く受け止めてくれたジン。体を少し離せば目の前には彼の顔。
普段は身長差があるから、私が見上げてばかり。互いが座っていても、やっぱり私が見上げる方だ。唯一目線が逆転するのは、ジンが座って私が立ってるときくらい。目の前にジンの顔があることに、“新鮮だな”なんて思う。
「たくっ……世話掛けやがって……」
『すみません……』
「戻るぞ……」
『はい』
地面にゆっくり下ろしてくれたジン。その横に並んでアジトまでの道を歩く。
ふと思ったのは、“ジンにも人間味ってあるんだな”って失礼なことだった。
──ジンと共に、アジトの自室に戻った。扉を開ければ、中から駆け寄ってくるバーボンの姿。
「アスティ!こんなメモ残して、どこ行ってたんですか?」
バーボンの手には私がアジトを出るときに残したメモ。それを見たジンは呆れたようにため息を付く。
『そのままの意味ですが?』
「猫じゃないんですから……」
“猫だよ”って言葉は、口から出ないようにぐっと抑える。
「それで何でジンと一緒なんです……?」
「偶然会いました」
「子猫見てぇに、木に登って降りらんなくなってるとこを回収した」
「は?」
「ちょっ!?何で言うんですか!?」
「事実だ」
無表情でしれっと暴露するジン。“お前が居なかったら降りれたんだよ!!”って言葉もぐっと飲み込む。
その後は、“木登り禁止”ってよくわからん禁止令を出された。
“ここは本当に世界規模の犯罪組織ですか?”って疑問の言葉は、唖然としてて口から出てこなかった……__。
***
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夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最近頑張ってください応援しています (2021年5月1日 15時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - ベルモットさん» 作者の描写能力が乏しくて申し訳ありません。組織に加入した理由を簡単に説明しますと、組織を離脱する赤井さんの代わりに明美さんを見守る為です。シェリーのような感じで、夢主が仕事をする場面とはどういう意味でしょうか?理解力がなくて、申し訳ありません。 (2019年6月17日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - あと、夢主人公が何故黒の組織に加入したのかが知りたいです。 (2019年6月17日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 始めは動物系苦手でしたが、ストーリー性が深く吸い込まれる程で楽しくなって来ました。黒の組織絡みが良いですね。夢主人公が組織の仕事をしている場面をもっと見たいです。シェリーの様な感じで。 (2019年6月17日 22時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 彩音さん» コメントありがとうございます。苦手系の話にも関わらず読んで頂き、そして楽しいと言って頂いて作者も嬉しい限りです。応援も有難うございます。ルパン達との絡みは先の展開をお待ちください。今後とも楽しんで頂ける作品になるよう精進いたします。 (2018年7月1日 21時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年6月5日 22時