貴方のために出来ること part.6【名探偵コナン】

251, ページ35

──そのまま連れて行かれ、現在ポアロ前。どうバーボンから逃げようかと画策したけど、無理だと気付いた。


(私は走れないんだった……；)


アスティに付けた制限が、異様に面倒臭いって改めて思った……。


「どうぞ(ﾆｺ」


先程とは違う爽やかな笑みを讃えて、扉を開けてくれる彼。うん。それだけ見たら紳士的で好感度プラス。けど強制的に連れて来られたからプラマイ０。いやマイナスだ。


『ありがとうごさいます。バー……じゃなくて、あむ……でもなくて、……透さん』


「はい(ﾆｺ」


そして目の前のこいつも、この上なく面倒臭い。なぜ“透さん”呼びかと言うと、ここに辿り着くまでの車内では、こんな会話を繰り広げた。



￣￣￣
￣￣
￣


「Aさん」


『何ですか？』


「ポアロでは“安室透”なので、気を付けてくださいね？」


『わかりました、バーボン』


「バーボンじゃありません」


『……まだ着いてないんですから、どちらでもいいでしょう』


「貴女は頑なに“バーボン”と呼んでるじゃないですか……」


『バーボンはバーボンでしょう』


「練習してみましょうか！」


赤信号になったため、車を停止して此方に顔を向ける彼。ニコニコ笑顔で催促してくる。っていうか練習するの？


『……バーボン？』


「初っぱなから間違ってますよ；」


『あれ？』


アスティでは“バーボン”。チェシャ猫では“公安のお兄さん”。本人を前に彼の名前をまともに呼んだのは一回だけ。しかも“降谷零”。本名の方だ。


『えーと……安室さん？』


「名前で呼んで下さい(ﾆｺﾆｺ」


『何でですか？』


「僕もAさんのことを、名前で呼んでますから(ﾆｺﾆｺ」


……そういえば、いつの間にか名前で呼ばれてたわ。名字は戸籍偽造のとき、ルパンが作ってくれたんだけど。まったく呼ばれることないから、名字呼びされても返事できる自信ないな。


『私が貴方を名字で呼ぶことに、何か問題でも？』


「不公平です！」


……え？名前で呼ばないことが不公平になるの？あれ？そういうものだっけ？


『あ。安室さん、青になりましたよ？』


「…………(ﾆｺﾆｺ」


『安室さん？』


「…………(ﾆｺﾆｺ」


『…………透さん、青です』


「はい！」


名前で呼ばない限り返事もしないし、発進させる気もないっていう態度を貫いてきたんだけど。なんだこいつ。


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