378, ページ17
『……少年と遊ぶ約束してて待ち合わせ場所に行ったら、私も大阪に行くことになってるからって初めて聞かされたの……』
「それで大阪に……」
赤井はAから視線を外し、後方にいるコナンへ顔を向ける。視線をあちらこちらへと移動させたコナンは、頬を掻きつつ苦笑を漏らした。そんな様子を見れば、ため息を付きたくなる赤井だったが今は堪える。Aへと顔を戻し……
『……着替えもない状態で行ったから、バーボンがあっちで洋服買ってくれたの』
「そうか。安室くんには何か返さないとな」
『……嫌がらせ受けたから返さなくていいと思う』
「…………」
たのだが、今度は安室へと顔を向け、何をした？と視線で訴える。だが、何かをした覚えなどない。というような、しれっとした表情のままの安室。付きたくなるため息を再度飲み込む赤井。
『……怪盗キッドから宝石取り返したのに、少年誉めてくれなかった……』
「そうか。頑張ったんだな。A、おいで」
ここでも自分の功績にするA。彼女が実際に何をしていたか知らない赤井は、両手を広げて彼女を呼んだ。
背は丸めて膝を抱えたままの状態で、動くことなく顔を正面へ向けながら会話をしていたAだったが、赤井の呼び掛けに顔を動かした。しばらくの間、動くことなく見ているだけだったが
「おいで、A」
と二度目の呼び掛けに答えたのは……縞猫だった。赤井の広げている腕の中へ跳んでいくやつ。それを見て、Aは体を強張らせる。顔を逸らそうとしたAと同時に
「お前はAじゃないだろう。ぼうや。こいつを頼む」
「うん」
今まで引き剥がすことなんてしなかった赤井が、抵抗する縞猫を自身から剥がしてコナンへと預けた。そして再度彼女へと腕を伸ばす。
「ほら、A。空いたぞ」
その声音はとても優しく、縞猫の有無を確認するため、赤井へと体をも向けたA。
彼女の顔が見えるようになったことで、安堵から柔らかい笑みを浮かべた赤井。その表情を見やれば、Aはまた涙が出そうになる。
「おいで」
『……っ』
三度目の呼び掛けで、枝から飛び降りた彼女は、赤井の腕の中へと入った。難なく受け止めた赤井の首へ、Aは両腕を回して強く抱き付く。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 405人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪丗(プロフ) - 恵未さん» 数ある作品の中から一番に選んで頂き、ありがとうございます！(≧▽≦)「楽しんでます！」というお言葉を拝見すると、頑張らないと！とヤル気が漲ります！p(^^)q更新ペースは遅いですが、着実に進めていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いしますm(__)m (2020年3月12日 23時) (
レス) id: 61bafc2705 (このIDを非表示/違反報告)
恵未(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいています。私この小説コナンの夢小説で一番好きなんです！これからも楽しみにしてます！ (2020年3月12日 20時) (レス) id: d0f8b56ca8 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 架印�靴気�» 度々教えて頂き、ありがとうございました(^^) (2020年3月6日 11時) (レス) id: 61bafc2705 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 架印�靴気�» あら？造語だったんですね…(^^; 作者が無知なだけなので、架印�畦佑�気になさることではありませんよ(^^)揚げ足をとる会話しりとりで“しりあげあしとり”。考えられてますねー！こういうのを知ると、原作者様はやはり凄いなー！と痛感致します。 (2020年3月6日 11時) (レス) id: 61bafc2705 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 誤解させてしまったようでスミマセン。 (2020年3月5日 21時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪丗
| 作成日時：2019年11月4日 0時
