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首都が健在だったころ。大きな城門から一歩出れば、まず先に視界に入るのは木々が生い茂る森の姿。

その森を突っ切れば、鉱業が盛んな街─トルーゼン─がある。金、鉄、銅など、様々な鉱物が手に入る。この大国─ザルツシュブルク─にとって、無くてはならない街。

大国として、維持するには金が掛かる。それだけではない。他の国を牽制するためにも、強い武具が必要不可欠。

少し昔になるが、国は鉱業の街を武力によって手に入れた。その街で造られる武具の性能のお陰で、隣国との争いは優勢を維持していたらしい。

この鉱業の街のことは、一先ず置いておこう。首都と鉱業の街の中間に位置する森。先程も述べたが、突っ切れば半日程で互いに到着する。

ただどちらの街から移動するも、森を通る者は居なかった。その森が≪帰らずの森≫と言われているのが理由だ。

一歩でも足を踏み入れてしまえば、出ること叶わない森と近年では言われている。なので街同士の移動は、森を迂回して通るのだ。約一日半も掛かる。往復するだけで丸三日も掛かる道のりを、商業者などは毎回通っているのだ。

子供でも知っている当たり前のこと。だが彼女は知る由もない。教わる必要などなかったからだ。首都が消滅するという事が起きなければ、外に出ることは叶わなかっただろう。




――森の道なき道を、ふらふらと歩く彼女。木の幹に躓いて転んだり、枝に肌を引っ掛け裂傷したり、尖った石を踏みつけ血を流したりなど。行く宛の無い彼女は、ただただ歩く。

彼女が茂みを掻き分ければ、開けた場所に出た。丁度いい高さの岩に腰を下ろす。息を整えながら、足の裏を確認する。靴を履いているわけではないので、血と泥に塗れていた。

眉尻を下げながら、どう対処すればいいか考える彼女。血が出ているので拭えばいい。と考えたようだが、彼女は自分の身以外には、簡易な服しか身につけていない。

じっと悩んでいれば、ガサガサと茂みの鳴る音が。そちらに顔を向けた彼女は目を見開く。

そこにいたのは、大きい体躯をした黒い狼が一匹。獲物を見つけたというような爛々と光る赤い眼。口からは牙が覗き、今にも彼女に襲いかかりそうだ。

『……魔獣……』

小さい声で呟いた彼女。彼女の眼には、狼の体から漏れ出る穢れが見えている。

いつ魔獣と化したかわからない目の前の狼。時間が経っているなら浄化は出来ない。だが知る由もない彼女は試すしかない。祈るように手を組み、眼を瞑る。

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設定タグ:女主人公 , ファンタジー , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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雪丗(プロフ) - キキさん» こちらにまで来て頂き、ありがとうございます。こちらの小説更新はカメさん以下の速度になるかと思いますが、少しずつ更新していきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。 (2019年1月24日 13時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - チェシャ猫が好きすぎて、こちらにも遊びに来たのですが…こっちもすごく面白いです!トレントの場面、ドキドキしました!どのキャラクターも皆、素敵ですね♪ファンタジーの不思議さやカッコよさがとても伝わってきます。無理なさらない範囲で、がんばってください! (2019年1月23日 22時) (レス) id: cc6696e063 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 雪丗さん» アドバイスありがとうございました!参考になりました! (2018年12月16日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 如月 唯奈さん» アドバイスが出来るかはわかりませんが、小説を読まさせて頂きます。読み終わりましたら、如月様の小説の方へコメント致します。少々お時間下さいませ。 (2018年12月12日 0時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 私もファンタジーのオリジナル小説を書いているのですが、表現が上手くできません……何かアドバイスくださいっ! (2018年12月11日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年11月22日 0時

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