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ゼオンとトレント(だったもの)を交互に見ていれば、剣を納めた彼が、私の体に巻き付いたままのトレントの腕(だったもの)を取ってくれる。
『あ、ありがとう……ございます……』
「平気か?」
服は土まみれで、引き摺られたから肌の出ていた足や腕には擦り傷がある。でもそれ以外はない。だから
『大丈夫です……』
と答えたら、怪訝そうな顔をしたゼオンに首を傾げる。
『あ!お弁当が大丈夫じゃないです。あとお酒も!』
地面に落とした籠へ視線を向ける。トレントに引っ張られた時、地面に逆さに落としてしまったのだ。落としたときに、ガラスの割れる音もした。なのでお弁当も引っくり返っているだろう。
バレッタが作ってくれたものなのに……。と落ち込んでいれば、クククッと喉を鳴らして笑うゼオンが。
「自分の身より、弁当が大事か……」
『“私へ”と作ってくれたものですから、食べれなかったと言ったら悲しいでしょう?』
「……どうかな。どちらかと言えば、お前が無事なことを喜ぶと思うぞ」
片手で私を抱えたまま、籠に近付き拾い上げたゼオン。そしてまた歩き出す。向かう先は巫女一族の里の方へ。
自分で歩くと言っても下ろしてくれず、私はゼオンに運ばれるままだった__。
定位置と化した里の中心まで運ばれ、ゆっくりと下ろされる。私の横に籠を置いたゼオンは、片膝を付き右手を翳す。
すると暖かな光が現れ、みるみると腕や足に負った傷が癒えてしまった。
『え……?……え?』
自分の手足とゼオンを交互にみる。今日だけで吃驚なことが起こり過ぎて、軽く脳内パニックだ。
「癒しの魔法だ。……知らないのか?」
魔法自体は、ガランが使った
しばらく考え込んでいたゼオン。下がっていた顔を上げ、私を見ると
「俺が魔法の使い方を……いや、戦闘の仕方を教えてやる」
『え……?ええぇぇぇえ!!?』
ゼオンの言葉に、私ははしたなくも大声を上げた__。
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雪丗(プロフ) - キキさん» こちらにまで来て頂き、ありがとうございます。こちらの小説更新はカメさん以下の速度になるかと思いますが、少しずつ更新していきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。 (2019年1月24日 13時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - チェシャ猫が好きすぎて、こちらにも遊びに来たのですが…こっちもすごく面白いです!トレントの場面、ドキドキしました!どのキャラクターも皆、素敵ですね♪ファンタジーの不思議さやカッコよさがとても伝わってきます。無理なさらない範囲で、がんばってください! (2019年1月23日 22時) (レス) id: cc6696e063 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 雪丗さん» アドバイスありがとうございました!参考になりました! (2018年12月16日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 如月 唯奈さん» アドバイスが出来るかはわかりませんが、小説を読まさせて頂きます。読み終わりましたら、如月様の小説の方へコメント致します。少々お時間下さいませ。 (2018年12月12日 0時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 私もファンタジーのオリジナル小説を書いているのですが、表現が上手くできません……何かアドバイスくださいっ! (2018年12月11日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年11月22日 0時