貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 【名探偵コナン】

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「はぁっ……はぁっ……」


被弾した傷とお腹に刺さった鉄骨で血がドクドクと流れ、肩で荒く息をする。途切れそうになる意識に渇をいれ、足に力を込めて強くアクセルを踏み込み続ける。


観覧車の重みでクレーンの天井が、ミシミシと音を立てて歪み始めてきた。


“必ず帰って来い”
“みゃあ！みぅみぅ(もちろん！必ず帰って来るよ)”


秀一の元を離れる時にした約束が頭に浮び、胸にあるチャームを握り絞め、目を伏せ俯く。


顔を上げて観覧車をみると、子供達が乗ったゴンドラが目に入る。中にいるシェリーとキュラソーと目が合い、安心させるように笑い掛けた。


大きく深呼吸をして、キッと顔を前に戻し大声で叫ぶ。


『止まれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』









　









　









“――――――――A!!”


『っ!!?』


帰らなきゃ……秀一の所に！


迫りくるクレーン車の天井が、スローモーションのように見える。


このままだと押し潰される。血が多量に流れて力の入らない体、はっきり言って座ってるのもやっとの状態。それに今アクセルを離したら観覧車が止まらないかもしれない……。


ふと目に入ったのは、腹に刺さった鉄骨だった。半獣になり、尻尾で鉄骨の端を絡め思いっきり引き抜く。


ｸﾞﾁｭｯ!!


『っーーー!!!!』


声にならない声を上げ、倒れそうになる体を無理矢理支える。


『ふーっ！ふーっ！』


荒い息を吐きながら、引き抜いた鉄骨を足代わりにしてアクセルを固定させ、尻尾をクレーン車の入り口の縁に引っ掛け、尻尾の力だけで体を外に放り出す。


私がクレーン車から飛び出すのと、観覧車の重みでクレーン車が潰れるのは同時だった。


ﾄﾞｫｫｫｰｰｰﾝｯ!!!


クレーン車が爆発した爆風に吹き飛ばされ、歩道脇の樹木に背中を叩き付け、うつ伏せに地面に倒れる。


『ゲホッ…ケホッ…はっ……ギ、リギリだ、…った……』


“止血だけでもしないと”そう思っていてもまったく体が動かない。


(これは…まず、い……)


言うことを聞かない体。少しずつ冷えていく手足は、感覚が無くなっていく。目が霞んでいき、音が遠退いていく。


私はそのまま意識を手放してしまった＿＿＿。


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