黙りやがれ公子様 【3】

重かった ページ8

『ハッ！！！朝！！！ぐえっ！！！』


目がパッチリと覚めてガバッと起きあがろうとしたが体が動かず変な声が出てしまった


まだタルタリヤさんが上に乗ったままだったみたい


てか鍾離さんマジどこにいんの


「ん゛………ん、……………ん？」


耳元で少し掠れた低音が聞こえたと思えばタルタリヤさんが起きた


ゆっくり起き上がったタルタリヤさん。今の体制、タルタリヤさんが私に馬乗りをしている状態


『人を下敷きにして眠った感想はどうですか？』


「…………は？……えっAちゃん？………ちょっとまってまってまってまってまって！！！！」


『とにかく早くどいて！！！私鍾離さんを1発殴らなくちゃ気が済まないの！！』


ごめんね重かったよね、と捨てられた子犬のような顔をしながらソファから降りるタルタリヤさんに芽生えてはいけない感情が芽生えそうになったのを抑えて『マジで重かった』と睨みつけ私もソファから降りようと起き上がり、立ち上がろうとした


『………わっ…！』


「！おっと」


足は動けていた筈だったのだがガクンと足の力が抜けて床にへたり込みそうになったところをタルタリヤさんがひょい、と私をいとも簡単に抱き上げた


「大丈夫かい？」


『おろしてえ……』


周りに人がいないのが救いだが恥ずかしい


顔近い


「Aちゃん、顔赤くない？え、熱あるの？」


『おまっ！お前！！！鈍感なふりしてんなよ！！』


急に鈍感ヒロインムーブってきたタルタリヤさんにキレながら腕から脱出しようとジタバタ暴れるがまー、びくともしないびくともしない


押さえつけられはじめてますね。これ


『なに？！こわ！運んでくれるなら鍾離さんのところまで！レッツゴー！』


ニコニコと微笑みながらこちらを見ているタルタリヤさんに「あ、この人運んでくれるのか」という確信を持ったので言ったのだがタルタリヤさんは一歩も動こうとしない


『……え、なに?こわ、え?………鍾離さぁぁぁぁぁぁぁん！！！』



「どうした」


あたかも「え？初めからここにいましたけど？」という雰囲気の鍾離さんが真横に立っていたので少し驚いて「ヒッ」という短い悲鳴を上げてタルタリヤさんの首に手を回した


マジで透明とかになって見てたんじゃないの？神ならいけるよね？


『てか鍾離さんどこにいたの！！ねえ！！』


「………あぁ、…すまない。寝ていた」


「Aちゃん！ダメ！その刃物下ろして！！Aちゃん！！」

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