はんぶんこ (ページ10)

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バイトが終わって電車に揺られて帰る

立って外の景色を見ていたら

近くにいた女子高生が

来週の花火大会の話をしていた

そういえばもう来週か

小さい頃はよくお母さんと行ってた

でもバイトを初めてから

その花火大会には行ってない

駅の近くのコンビニだし

花火大会の日は人が多いから

休めないんだよね

「ただいま」

廉「おかえりー」

前までは返ってくることのなかった

"おかえり"という言葉

その言葉だけで

心が少し温かくなる

「疲れたー」

廉「お疲れさん、はい」

と言ってお茶を出してくれる

「あっ、そうだ。廉って来週の花火大会行くの？」

廉「なに？お誘い？」

なんてニヤニヤして聞いてくる

「違う。そもそもその日バイトだから行けないし…廉はどうなのかなって気になっただけ」

廉「ふーん。俺もバイトやで」

なんだ廉もバイトなのか

「そうなんだ…なんか意外だね」

廉「何が？」

「廉ってモテるから可愛い彼女とでも行くのかなって思ってた」

廉「まぁ、モテるけど彼女はおらん」

廉って彼女いないんだ…

えっ、なんで今私ホッとしてるの？

一瞬よかったって思ったよね？

いや、ないない

絶対ありえない

廉「お前、何してんの？」

「えっ？」

廉「急に固まったと思ったら首振り出すし…なんか変なものでも食べた？」

「ごめん！全然大丈夫だから！お風呂入ってくるね！」

そう言ってお風呂場に逃げ込んだ

こんな態度とったら絶対変だと思われる

ふと横にある鏡を見ると

真っ赤な自分の顔が映っていた

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