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あれから2週間が経った。
有岡は度々伊野尾に連絡し、その都度同じように身体を弄ばれる日々。伊野尾は心身共に衰弱していた。
"俺、なんであんな奴の言いなりになってるんだろ…ただ、もう一度あいつと話がしたいだけなのに…"
通学途中、大きなため息をつきつつ周りに目をやると、前を歩く元カノの姿が目に入った。久々の彼女の姿に気持ちが躍る。
"ラッキーだ…!今あいつ1人だし、普通に話しかけるくらい、いい、よな…"
頭の片隅に有岡の顔が浮かびながらも、折角の機会を逃すまいと、駆け足で元カノの元へ向かう伊野尾。
___次の瞬間、誰かに強く腕を引かれ、それを阻止された。
「っ…!?…なん、で…」
「ダメじゃん伊野尾くん、約束破っちゃ」
伊野尾の前に現れたのは他でもない、薄らと笑みを浮かべた有岡だった。
「…何その変な顔。言ってなかったっけ?俺も同じ大学なんだよ。俺の方が1個下だけど」
「うそ…」
絶望を感じる伊野尾を余所に、有岡は左腕で伊野尾の肩を組み、右手は伊野尾のズボンの上からモノに軽く触れた。
「そんな悪い子にはー、お仕置きが必要だね?」
急に低くなった有岡の声色に、背筋が凍りつくような感覚がした。もう逃げられない、伊野尾はそう悟った。
「…伊野尾くん?」
いつの間にか、有岡の声が遠くなる。
全てが真っ暗になった。
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作者名:むにこめ | 作成日時:2022年11月28日 22時