25 ページ25
.
「大声出してごめん!…でも、誤解されたくなくて」
「…俺こそ、つまんない嫉妬してごめんね」
"…伊野尾くんも、嫉妬とかするんだ…"
有岡が頬の緩みを必死に抑えていると、伊野尾が更に不安そうな声で言葉を絞り出す。
「…さっきの女の子、有岡くんのこと見てたんだ」
「……はい?」
"…それを言うなら伊野尾くんの方では…!?"
混乱する有岡を他所に、伊野尾は俯いたまま続ける。
「それだけでも嫌だったのに、有岡くんまでその子のこと見ちゃうからモヤモヤしちゃって……心、狭いよね…俺、」
"…おかしいな、
元カノも、それ以前に付き合った子にも、こんな小さなことで妬いたりしたことなかったのに…"
はあ、とため息をついて、伊野尾はうわ言のように呟く。
「…有岡くんかっこいいし、モテちゃうの困るなぁ…」
"…なに、それ…"
「…もーー、伊野尾くんってほんと…」
頭を搔いて呆れたような口調の有岡に、ドキリとする伊野尾。もしかして嫌われてしまっただろうか、とネガティブな考えをしてしまう。
…ところが、伊野尾の予想はまんまと外れた。
「可愛すぎっ」
有岡は心底安心したというような様子で、にっこりと伊野尾にそう笑いかけた。
予想外の反応に、伊野尾は照れ隠しのようにばか、と呟き、有岡の肩を小さく叩いた。
130人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むにこめ | 作成日時:2022年11月28日 22時