イビツ (ar×in) (ページ23)

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｢…ほんとにいいの？俺で…｣

｢有岡くんじゃないと、嫌なんだよっ…｣

｢伊野尾くん…｣

小さく震える伊野尾の手を取り、向き合い、その涙を拭う有岡。伊野尾は泣き顔ですらとても綺麗で、目が合うと惹き込まれそうになる。

"…ああ、俺はただ、逃げてただけだったんだ。

伊野尾くんはいつだって、真っ直ぐ伝えてくれていたのに…"

｢ごめん…俺…本当にごめんなさい…｣

｢…うん｣

｢…！｣

有岡が泣きながら頭を下げると、伊野尾は全て許すかのようにそっと有岡を抱きしめた。それに応えるように、有岡もゆっくりと伊野尾の背中に腕を回す。

お互いの鼓動がだんだんと加速してゆくのが分かる。

"…伊野尾くん、ドキドキしてる…"

"有岡くんの身体、熱いな…移っちゃいそうなくらい"

"…もっと強く抱き締め返したら、どんな反応するかな"

"もう離れないと…人が来る前に、離れないといけないのに…"

"…離れたくない"

"" ああ…この気持ち、もっと伝われ… ""

｢…伊野尾くん｣

｢ん、？｣

｢大好きです｣

｢！…俺も…です｣

｢……キス、してもいい？｣

｢…いいよ。その代わり…

責任、とってよね？｣

｢…！うん…もちろんっ｣

微笑み合いながら、初めての口付けを交わした。

お互いの涙で少ししょっぱくて、何故かほんのり甘い、そんな温かいキスだった。