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「ごめんね、蜜璃ちゃん。私のせいで…」


廊下を進みながら、Aはそう言った。謝罪された本人である甘露寺は、一瞬の迷いもなくそれを否定する。


「違うわ、Aちゃん。こういう時は、ありがとう、よ!」


ね?、と甘露寺は横に並ぶAの顔を覗き込んでそう言った。Aは友人のその言葉の優しさに心打たれながら、笑顔を返す。


「そうだね。ありがとう、蜜璃ちゃん」

「いいえ!大変な時はお互い様だもの」


花が咲くような笑顔を溢してそう当たり前のように言う友人に眩しさを覚えながらも、彼女の足取りに迷いが無いことに疑問を抱く。


「どこに向かってるの?蜜璃ちゃん」

「具体的には行き先無いのだけど、こっちには余り人が来ないって、しのぶちゃんが言ってたの」


角に着く度に立ち止まり先を確認する。幸いなことに、時透に遭遇して以来十分程誰にも会っていない。


「しのぶちゃんが睡眠薬で皆を眠らせてくれるみたいだから、それまで移動しながら隠れましょう」

「うん。一つの部屋に居続けるのも、遭遇率が上がりそうだもんね」


Aがそう応答すると、甘露寺は気になっていたことを相手に聞いてみることにした。


「Aちゃんにかけられた血鬼術って、殿方を魅了してしまうものなのでしょう?」

「うん、そうみたい」

「本当に伊黒さんも一緒に来て大丈夫だったのかしら…?」


文通をする程の仲の良い異性の友人を心配する甘露寺のその言葉に、Aは思わず「好きな人がいる人には効きにくいから大丈夫!」と言いそうになり咳払いをすることで誤魔化した。


「な、何でだろうねー」


人の秘めた恋を暴露するわけにもいかず、Aは棒読みにそう言った。甘露寺も真逆自分の存在により、伊黒が血鬼術にかかりにくいとは露にも思わない。


「あ、あれじゃない?しのぶちゃんはきっと、私と伊黒さんが同じ空間に長くいないであろうことも予見してたんじゃ無い?」

「なるほど!流石しのぶちゃんだわ!」


目を輝かせる甘露寺に、「恋に恋してるのに、何で伊黒さんのあんなに分かりやすい好意に気づかないんだろう」と、Aは思う他無かった。そして伊黒を不憫に思った時、突然横の木戸が開き人が飛び出してきた。

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もみじ - めちゃめちゃ面白かったです!! (2022年8月1日 19時) (レス) @page30 id: 32f65dbc25 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - ななしさん» お読みいただきありがとうございます。今でも反応をいただいており、私としてもお気に入りの作品ですので、そう言っていただけて嬉しい限りです。もしまた機会があれば、読んでいただけましたら幸いです。 (2022年4月9日 0時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 面白くて一気読みしました!語彙力が凄くて羨ましいです...!シチュエーションも神でした!これからも応援しています!! (2022年4月2日 17時) (レス) id: 05cc864757 (このIDを非表示/違反報告)
ハッシュタグ(プロフ) - 水城舞梨亜さん» 喜んでいただけて良かったです!リクエスト本当にありがとうございました…! (2020年10月22日 11時) (レス) id: bcf3124c84 (このIDを非表示/違反報告)
水城舞梨亜(プロフ) - いいいい伊黒さんかっこいい!!!です!\(^o^)/伊黒さんは、私の推しなんですが、こんなにかっこよく書いていただけて嬉しいです!!(*´ω`*)後、夢主ちゃんがかわそう…でもなんかすごいです!(語彙力)感情が無いようであって。凄く、本人にあってると思います! (2020年10月22日 8時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハッシュタグ | 作成日時:2019年11月30日 19時

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