2話 ページ2
二人で談笑していると、惜しくも別れる場所がきてしまった。
Aの隣で過ごす時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。微かな名残惜しさには気づかないふりをした。
「じゃあ、またね。」
僕が卒業証書を持った手と反対の手をひらりと振ると、Aにこりと笑って手を振り返してくれた。
「うん、ばいばい。」
この時、なぜ彼女が“またね”ではなく“ばいばい”と言ったのか。僕にはわからなかったし、気にも止めていなかった。
ただ、どんどん遠ざかっていく小さな背中が酷く物悲しげに見えた。
どこか、遠くへ。誰も行けないような場所へ。
去ってしまうような、そんな気がした。
……卒業式の日だから、ほんの少しだけナイーブな気持ちになっているだけだろう。
自分にそう言い聞かせて、僕は家路に着いたんだ。
.
.
今でも鮮明に思い出せる。
あの物寂しげな背中を。
目に見えない何かに怯えるようにすら見える背中を。
あの日、あの時。
彼女の腕を掴んでいたら。引き止めていたら。
未来は変わっていたのかもしれない。
__その日から、彼女は誰にも何も言わずに忽然と姿を消した。
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白霞(プロフ) - いちごアメさん» 応援のお言葉ありがとうございます。面白いとも言って頂けて嬉しい限りですございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月19日 17時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ - とっても面白いです!!これからも頑張ってください (2020年8月18日 21時) (レス) id: 77a7bd0b14 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» そんな風に言って頂けて光栄の極みでございます!素晴らしい作品だなんて畏れ多い…!最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月18日 12時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - す、素晴らしい!泣きました。とても面白い、悲しい?ような気がして面白かったです。(伝わらないような気がする。語彙力無くて、すいません!)とにかく素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - くれーぷさん» そのように言って頂けて嬉しい限りです!こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月26日 0時