検索窓
今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:111,149 hit

2話 ページ2

二人で談笑していると、惜しくも別れる場所がきてしまった。

Aの隣で過ごす時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。微かな名残惜しさには気づかないふりをした。



「じゃあ、またね。」



僕が卒業証書を持った手と反対の手をひらりと振ると、Aにこりと笑って手を振り返してくれた。



「うん、ばいばい。」



この時、なぜ彼女が“またね”ではなく“ばいばい”と言ったのか。僕にはわからなかったし、気にも止めていなかった。

ただ、どんどん遠ざかっていく小さな背中が酷く物悲しげに見えた。



どこか、遠くへ。誰も行けないような場所へ。
去ってしまうような、そんな気がした。



……卒業式の日だから、ほんの少しだけナイーブな気持ちになっているだけだろう。

自分にそう言い聞かせて、僕は家路に着いたんだ。

















.








今でも鮮明に思い出せる。

あの物寂しげな背中を。
目に見えない何かに怯えるようにすら見える背中を。


あの日、あの時。
彼女の腕を掴んでいたら。引き止めていたら。
未来は変わっていたのかもしれない。








__その日から、彼女は誰にも何も言わずに忽然と姿を消した。

3話→←1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (285 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
161人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白霞(プロフ) - いちごアメさん» 応援のお言葉ありがとうございます。面白いとも言って頂けて嬉しい限りですございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月19日 17時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ - とっても面白いです!!これからも頑張ってください (2020年8月18日 21時) (レス) id: 77a7bd0b14 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - つぶやき星のつぶやき女さん» そんな風に言って頂けて光栄の極みでございます!素晴らしい作品だなんて畏れ多い…!最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月18日 12時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
つぶやき星のつぶやき女 - す、素晴らしい!泣きました。とても面白い、悲しい?ような気がして面白かったです。(伝わらないような気がする。語彙力無くて、すいません!)とにかく素晴らしい作品でした。お疲れ様でした。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: 9c9562d775 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - くれーぷさん» そのように言って頂けて嬉しい限りです!こちらこそ閲覧ありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月26日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。