隠の桐島さん 第二幕【鬼滅の刃】

三途の川で死んだ婆ちゃんに平手打ち食らった件について ページ20

それから育手のおじさんの
死んだ方がマシって思うくらいの過酷な鍛錬をこなした



もうっ本当に辛かった


滝に突き落とされたり鍛錬だと言って気絶するまで組手したり


しかし一番辛かったのは地獄の“寒中水泳”


一月の超冷たい海を平泳ぎで泳いだときは
本気で三途の川渡るところだった


(なんとか現世に戻ってきて)海を泳ぎ切った後
家で待っていたおじさんに【鈍間】と罵られたときは


マジでふざけんなクソジジィ！！って言いそうになったけど
なけなしの理性でなんとか踏みとどまった

誰か褒めて？




そして二年かかって
やっとおじさんから最終選別を受けることを認められた


まぁその時点でお世辞にも強いとは言えない剣士だったんだけど
死に物狂いで最終選別を通過した私は



ようやく...




ようやくッ鬼殺隊の仲間入りを果たした



最終選別から帰った後馬鹿みたいにデカイ声で喜んでたら
おじさんに怒られたなぁ




『やった！やったぁ！』




「騒ぐな半人前が！！
ま、精々死なぬよう鍛錬を怠らないことだな」





こーんな感じでおじさんは兎に角可愛げ...


否、優しさのカケラもない人で
たまにほんの少し素直になるというか丸くなるときも


あるっちゃあるけど


ほぼほぼこんな感じで
棘のある発言が絶えない人だった



でも、初めての任務に出掛けようとした時





『今までお世話になりました！』




「おぅ、他の隊士に迷惑かけんなよ」





そう言っておじさんは黙り込んだ



少し考えるような素振りを見せた後
プイッと私に背中を見せたと思ったら


無愛想にこう言った





「俺が死ぬまで絶対に死ぬんじゃねぇぞ」





普段絶対に見せない優しさが垣間見えた気がした


不器用なおじさんなりの精一杯の言葉だったんだと思う





頰の緩みが抑えきれなかった


こんな情けない顔絶対おじさんに見せれない




けどやられてばっかなのは癪だから
ここは一つやり返してやろうと私は思って

また馬鹿でかい声で言い返してやった




『はい、行ってきます！“涼森”さん！！』







「...！...はっ、馬鹿弟子がッ」





涼森健一





それが師範の名前だった





この名前を呼ぶのは最初で最後



今度会うときはその素直じゃない性格直しといて下さいね





“師範”

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